コロナ禍のなか、コンビニエンスストアでも「働き方改革」が加速してきている。「単発バイト」というようだ。
常勤のアルバイトが何らかの理由によって欠勤となった場合、登録者の中からフランチャイズ店舗が選んで働いてもらう、というシステムだ。
ローソンは来年3月に全国展開を視野
コンビニ大手のローソンは、店舗の従業員募集の取り組みとして、2020年12月12日勤務分より、関東エリアの500店舗(東京都内、千葉県、埼玉県の一部地域)を対象に、関連会社のローソンスタッフ株式会社(新潟市)が提供する短期人財採用サービス「matchbox(マッチボックス)」の導入実験を開始した。
ローソン広報部は、
「この実験は、2021年2月末までの約3か月間実施し、検証結果を踏まえ2021年3月以降の全国での導入を目指していきます」
としている。
コンビニエンスストア業界では従来、人手不足が大きな課題となっていた。コロナ禍の影響もあってか、「今年に入り、アルバイトの応募者は増加傾向にある」(ローソン)としているものの、店員が病気や個人の事情による急な欠勤が発生した場合の人員手配の要望が多くあった。
一方、「子育てなどの合間に少しだけ勤務したい」や「空いた時間の副業として勤務したい」など、多様な働き方を希望する人が増えている。
今回、実験導入した「matchbox」は、2014年にローソンが設立した関連会社であるローソンスタッフが運用する短期人財採用の「マッチング」サービスだ。
単発バイトの採用までの手順は、
(1)人手が足りない店舗が、就労してほしい時間の3時間前までに、求人の日時と人数、時給や条件などを登録
(2)求職者が、条件に合う店舗を選択して応募
(3)応募者の中から、店舗が勤務者を選定
(4)当該店舗で勤務
という流れになっている。
通常の人材派遣と異なるのは、店舗側の直接雇用となり、店舗側は求職者に対して勤務時間分の給料を立て替え払いして、ローソンスタッフ社に対して勤務時間に応じて設定された手数料を支払うという。登録する求職者の募集は、外部求人サイトとの連携やSNS広告などを通じても行う。
ローソン広報部によると、
「2020年6月、埼玉県と神奈川県内の合計3店舗で行った先行実験では、募集した全10シフトすべてでマッチングが成立し、シフトの空きが解消される結果となりました。今後もローソンは、店舗の人手不足解消に向けたさまざまな取り組みを行っていきます」
と、今後の展開へ期待を寄せている。
ファミマも「スマホアプリの拡充の影響大」と分析
こうしたコンビニの「単発バイト」は、ファミリーマートでも実施している。同社も2014年からサービスを導入しており、広報担当者によると、
「導入当初は、まだ認知度も低く、さほど需要はありませんでした。しかし、スマホアプリが年々拡充してきていることにより、登録者の数も増加傾向で、徐々に『単発バイト』が増えていく傾向にあると思います」
という。
一方で、今年はコロナ禍の影響で飲食店や宿泊業、観光業などを中心に休業要請や「コロナ倒産」に見舞われて、職を失う人も少なくなかった。
「コロナとの関係を示すデータは今のところないですが、働き方が大きく変わった1年であったことは確かで、2020年以降さらなる加速が見込まれるかもしれません」
と話している。