昔から本を読むのが好きだ。単行本に文庫本、新書までジャンルを問わず読むのだけれど、いつまで経っても苦手で受け付けないジャンルがある。
何かというと、自己啓発本やハウツー本の類だ。いわゆる「簡単に答えをくれる本」がニガテ。就活生的に身近なハウツー本でいえば、「これをやったら面接に受かります!」とか「絶対に受かる志望動機はこれだ!」とか、そういうことをうたっているヤツ。本屋さんでそんなタイトルの本が目に入るたびに、「ケッ!」と悪態をつきたくなるのはわたしだけでしょうか?
ハウツー本に載っている例が「唯一の正解」なの?
わたしがひとり静かに悪態をついたところで、世の中はそういったハウツー本で溢れかえっている。ハウツー本は、欲しい答えをポンっとすぐに出してくれるから、何かと忙しい現代人にはもってこいなのだろう。
就活生向けのハウツー本だけでも、数えきれないほどある。「受かるエントリーシートの書き方」「内定が取れる志望動機のつくり方」「ウケがいい自己PRはこれだ!」......。書き出したらキリがない。
そして、ハウツー本に載っている「例」が「唯一絶対の『正しい』答え」であるかのごとく、その本に従って志望動機やエントリーシートを書く。そうして作られていく志望動機やエントリーシートには、完璧で優等生な言葉が溢れていく。
まるで、あなた自身の色が消えてしまったみたいに、ひんやりとした言葉の羅列。それは本当に、あなたが自分の頭で考えて、その想いを言語化したもの? それとも、そうやって書いたらウケがよさそうだから綴った言葉?
「これを書いたら内定」だの「絶対通過するエントリーシートの書き方」だの、そんなものは存在しない、と個人的には思っている。
もっと言うと、就活にみんな一緒の「How to」なんてのもないと思う。じゃあどうすればいいのかってなるけれど、そこが頭の使いどころ。就活に、たった一つの「正解」なんてものはない。
自分の頭で考えて、その思いを言葉にして、ぶつける。とってもシンプルなこと。粗削りかもしれないし、洗練されてはいないかもしれないけれど、それは間違いなくあなたの言葉だし、熱が通っている言葉になるはず、ではないのか。