「一年の計は元旦にあり」社長はその言葉の意味を噛みしめよ(大関暁夫)

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「業務運営方針」と「社員の行動指針」

   ならば、新年の仕事始め年頭訓示は、業務運営方針との区分けという意味で、業務に偏らないものであるべきなのです。すなわち、「今年1年、社員にどのように行動してほしいか」という「今年のあるべき行動指針」を明らかにする場であると理解するのが肝要であろうということになるのです。

   新事業年度はじめの訓示が本年度の「業務運営方針」を徹底する目的であるのに対して、暦上で1年の仕事初めの年頭訓示は、本年の「当社社員の行動指針」を明確にするものとなるわけです。

   双方が相互矛盾を生んでいないということは大前提ですが、新年の訓示が業務に踏み込みすぎないということには特に注意を払いたいところです。業務に踏み込みすぎると、業務運営方針が変わってしまったのか、はたまた新たな方針が追加されたのかといった誤解や混乱を招く原因になりかねないからです。

   なお、12月決算で1月が新年度入りと重なる企業もあると思いますが、この場合は仕事始めに「行動指針」を訓辞し、新年度の業務運営方針は別途改めて提示しつつ、その折に双方の整合性を持たせるのがいいでしょう。

   では、具体的に年頭訓示をどのように考えるかですが、私が経営者とこの点に関して打ち合わせをするときには、「今の時代や社会情勢の中で当社が置かれた立場を踏まえて」自社の社員に、

「もっとこんな行動をしてほしい」
「これが足りないと思う」
「こんな姿勢を身に着けて欲しい」

   と思うことは何ですか、という質問を投げかけるようにしています。

   この「今の時代や社会情勢の中で当社が置かれた立場を踏まえて」ということは、かなり重要なことで、これがあることで「業務運営方針」との整合性が保たれ、学校の先生や僧侶の説教とは異なる事業会社のトップにふさわしい年頭訓示とすることができるわけなのです。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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