国産タオル「メード・イン・ジャパン」品質で復権 2019年売上規模は過去10年で最高

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   国内タオル専業メーカーの2019年の売上規模(事業者売上高ベース)が677億円と過去10年で最高になったことが、帝国データバンクの調べでわかった。2020年12月22日の発表。

   愛媛県の「今治タオル」など産地のブランド化で市場を確立。安価な輸入品など汎用品との差別化が行き渡り、輸出の拡大が軌道に乗った結果だ。

  • 産地ブランドが定着し国内タオルは市場の確立に成功
    産地ブランドが定着し国内タオルは市場の確立に成功
  • 産地ブランドが定着し国内タオルは市場の確立に成功

今治、泉州......「産地ブランド」定着

   タオルやブランケットなどを製造するタオル専業メーカーの売上規模は、10年間で約4割拡大するなど業界の成長が続いている。かつては中国をはじめ外国製の安価な輸入製品によって、割高な国産タオルは市場から押し出され苦戦が続いていたが、近年は高付加価値・高品質タオルによるブランド戦略がうまく行き、今治タオルや泉州タオル(大阪府)などの産地ブランドが定着。低価格帯の汎用品から脱却し、ビジネスを成功させている。

「今治タオルや泉州タオルなどに代表される、各生産地は独自の品質基準を設けたタオルブランドを創造。贈答品用などを中心とした国産高級タオル市場を形成したことで、価格競争に左右されない収益の確保に成功した」
タオル市場が好調
タオル市場が好調

    と帝国データバンク。

   産地のブランド化以外にも、ベビー用品などでニーズが高いオーガニック原料を多用した環境配慮型のタオルや、手触りや吸水性に優れた高機能商品の開発など、メーカー各社の技術力を生かした高付加価値商品を生み出している。

   「こうした取り組みが、国産タオルの安心・安全・高品質という評価に繋がり、高価格帯でも売れる要因となっている」という。

)販売チャネルの多角化に積極的

   タオル専業メーカーは販売チャネルの多角化にも、積極的に取り組んでいる。具体的なアプローチはSPA(製造小売)業態への転換やEC市場への参入だ。SPAは消費者ニーズを素早く製品に反映できるとして、20年ほど前からアパレル業界に広まった。タオル業界にも取り入れられ、製品のブランドを示すタグをつけるなどして高品質をアピールし、新規顧客やリピート客の確保につなげている。

   ブランド化や販売チャンネルの多角化は国内販売に比べても高価格帯中心の商品が多く売れる海外市場向け販売でも効果を発揮した。2019年の輸出タオルは1キログラム当たり4000円を突破したが、これは輸入タオルに比べると4~5倍にもなる価格だが、帝国データバンクによると品質の高さを強みとして中国や台湾などアジア市場を中心にシェアを拡大するなどグローバルな高級タオル市場で確固とした地位を確立したという。

   これにより、小ロット生産・高単価なタオル生産でも業績拡大可能な業態へ転換する道が拓け、業績改善を後押しする要因の一つとなっている。

   今後の国内タオル業界も高級タオル市場で収益を確保する展開になるとみられるが、2020年は緊急事態宣言による営業自粛などで百貨店などでの販売が落ち込んでおり、前年比3割程度の減収となったタオルメーカーもある。コロナ禍が、販売に大きな影響が及んだケースも少なくない。

   業務用も、稼働率の低迷が続くホテル向けなどでは大幅な需要減がみられ、回復にはしばらく時間を要するとみられる。

   ただ、衛生面の意識変化を追い風に、タオルの使い捨てといったニーズの変化や、エステサロンなど業務用の高付加価値タオル需要が底堅いメーカーもある。しかし、それもタオル需要全体の減少分を補うことは難しいとみられる。

   帝国データバンクではそのため、2020年の国内タオルメーカーの売上規模は一時的に前年を下回る傾向で推移すると予想している。

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