2020年の企業分析バトル カブ大学対抗戦が終わった。優勝は、一橋大学。7つの銘柄を分析。そのうちの5銘柄、総投資額157万2500円を投じて、46万5500円の利益を叩き出した。2位の明治大学は「運がよかった」とホッとする。5銘柄に206万8800円を投資したところ、2銘柄がマイナスとなったが、結果的に33万1000円の利益を得た。早稲田大学が3位。7銘柄を分析して2銘柄を、合計63万9100円で購入。9万2100円のプラスで終わった。
新型コロナウイルスの感染拡大や米大統領選で揺れた株式市場だが、3大学がそろって利益を上げた。今季を振り返ってもらった。
高いボラティリティ、市場の荒波に信念貫いた(早稲田大学)
【取引銘柄】
・ビックカメラ 5月7日 200株を948円で買い 保有中含み益 4万1600円
・ファーストリテーリング 5月31日 取引は見送り
・伊藤忠商事 7月25日 取引は見送り
・商船三井 8月25日 取引は見送り
・マクドナルドホールディングス 9月25日 取引は見送り
・FJネクスト 10月2日 500株を899円で買い 保有中含み益 5万500円
・ウーバー・テクノロジー 11月25日 取引は見送り
合 計 投資総額63万9100円 9万2100円の利益 利益率14.4%
(2020年11月30日現在)
新型コロナウイルスの感染拡大、東京五輪・パラリンピックの延期、総理大臣交代、米大統領選、株式の史上稀にみるリセッションなどと、この半年は非常に濃い半年であり、あっという間でした。
また、株式市場の歴史からみても、この一年のボラティリティは異常に高く、歴史に刻まれる一年であったとも言えるでしょう。そのような株式市場の荒波の中で、自分の信念を守り株式投資を続けられたことは、自信に非常につながっています。
このような激動のときを、若いうちに経験できたことはとても価値あることだと思います。
自身の成績としては、上記のように9万2100円の利益でした。買った株式合計金額が63万9100円ですので、14.4%の利益率です。またベンチマークである日経平均株価は5月7日(1万9674円77銭)から11月30日(2万6433円62銭)であり、この期間に34.4%上昇しています。
このことから、投資結果としてはベンチマークに惨敗しており、悲惨なものとなっています。市場に勝つことの難しさを非常に強く痛感した次第です。
しかし、今回のこのようにさまざまな会社を取り上げ、分析し言語化までする機会は貴重なもので、自分の考えや投資手法を見直すのに非常に役立つものでした。今回の経験が、今後半世紀以上続くだろう個人投資家としての人生の助けになることを確信しています。
最後になりますが、このような貴重な機会を提供くださり、また数少ない学生投資家であり共に企業を分析した一橋大学オレオ様、明治大学ベビタッピ様に御礼を申し上げたいと思います。ここまでお付き合いくださり、誠にありがとうございました。
◆児山将のワンポイントアドバイス
経験の浅い学生投資家さんにとっては、コロナ禍という特殊な相場状況の中では難しい投資判断を迫られたのではないでしょうか。
インデックスとのパフォーム比較をされていますが、世界的金融緩和に加えて、日本はNTTの上場廃止という稀なイベントが起こりました。およそ4兆円規模の株式がリバランスされることにより、日経平均株価とトピックス採用銘柄に強制的に買いが入ることになります。
これがわかっていてば、指数が上がりやすい状況であることが理解できたのですが、この判断は難しかったのではないでしょうか。
銘柄では、FJネクストについて、コメントさせていただきます。
首都圏で有名ブランドの投資用ワンルームの販売を行う同社。都心の不動産価格は、コロナ禍の影響をほとんど受けずに、むしろ上昇傾向。不動産市況としては良好なのですが、コロナ禍に営業活動の足を引っ張られたというところが痛いところです。
入居率は、ほぼ100%であるため、コロナ禍が落ち着くと注目されそうです。
好きな言葉は「Be Fearful When Others Are Greedy and Be Greedy When Others Are Fearful.」。東京都出身。
大事なのは「出口戦略」だった(明治大学)
【取引銘柄】
・チェンジ 4月23日 100株を3720円で買い
5月13日 4210円で売り 利益確定 4万9000円
・ワークマン 7月27日 100株を1万10円で買い 保有中含み益 ▲13万525円
・アルトナー 8月31日 100株を948円で買い 保有中含み益 ▲1405円
・エムスリー 9月14日 100株を6010円で買い 保有中含み益 33万751円
・GMOフィナンシャルゲート 11月25日 取引は見送り
合 計 投資総額206万8800円 33万1000円の利益 利益率16%
(2020年11月30日現在)
今回の企業分析バトルは、まず評価損益がプラスで終了したことが、正直言って奇跡である。理由は損益を見てもわかるように「ワークマン」の存在だ。この銘柄は天井をブレイクしていくと自分の中では確信していたが、結果としては数か月揉み合って終わってしまい、むしろ含み損で終了してしまった。
しかし、「エムスリー」に助けられたといっても過言ではない。この銘柄に関しては取引をするのが遅かったので、あまり利益は期待していなかったが、フタを開けてみると今回のバトルで一番利益が大きかった。
この経験から、将来株価を予想するのは良いが、絶対にそうなると山を張る行為はよろしくなく、必ずその時々の地合いにそった判断をする必要があるということを学習した。特にコロナ禍という特別な環境ではなおさらである。
次にこの企業分析バトルで学んだことは、出口戦略だ。上記の銘柄のうち、結局3つがまだ保有中であり、正直どのタイミングで利益を確定、損切りをしようということは決めずに取引してしまった。
これは大きな反省点であると私は感じている。結局、出口戦略をしっかり決めておかないと、もし株価が大きく変動した時にあたふたして変な利益確定や損切りをすることになりかねない。そういう意味でも、今回元本割れを阻止できたのは奇跡に近いのだ。
最後に、私は今まで日本株にまったく触れたことがなかったが、仮想の資金ではあるけどもコロナ禍という特別な環境で初めて銘柄を分析することができたので、これは今後自分の資金で日本株を運用するときに、とても有益な経験値となると思う。
◆児山将のワンポイントアドバイス
チェンジは早期の購入に踏み切っており、タイミングが素晴らしい限りです。リモートワーク&DX(デジタルトランスフォーメーション)の中心銘柄となり過去最高益を叩き出しました。9月28日に高値を付けた後は急落。新サービスの発表やトヨタファイナンスとの業務提携、10年連続最高益更新へなど、数々の好材料が相次いだものの、期待感が織り込まれており、徐々に出来高が縮小傾向にあります。12月末に株式分割がされるため、それ以降に再び動き出すのではないでしょうか。
Twitter:@takumi1714206
【株式取引ルール】
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投資対象は、新興市場を含む上場企業の現物取引です。
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