「国会対応」という名のもとで、議員の質問や大臣の答弁書作りのため、理不尽な残業を強いられる国家公務員の無念が浮き彫りになった。
河野太郎・行政規制改革相が国家公務員の「サービス残業」の実態調査を、2020年12月25日に公表。若手官僚がどんどん辞めていくのも無理はないようだ。
予算が少ない部署では「残業手当」が出ない
ネット上では、国家公務員のブラック企業並みの実態について、こんな意見があふれた。
自身も元国家公務員というアヴァンテ社会保険労務士事務所の小菅将樹氏は、こう投稿した。
「国家公務員の健康管理にかかわる課題は、過労死防止が叫ばれるなか、より積極的に向き合っていかなくてはいけません。そのためには労働時間の把握をしっかり行うことが必要です。私が本省にいた頃は、退庁時間を翌日末席係員が聞いて回り、手書きで報告書に記載し、予算がつく部署のみ残業代がきちんと支払われる仕組みでした。国会対応の窓口業務や予算編成、突発的な業務への対応等、自分たちのペースで日中の時間内に終わる業務ばかりではなく、他省庁との折衝により時間がずれ込むことがあります。このため、国会議員が官庁の業務実態を理解し、具体的な行動に落とし込めるようにすることは必須といえます」
当事者と名乗る人からは、こんな実態報告が。
「本省勤務ですが、やっと明るみに出てくれた感じです。予算要求時期や国会時期は殆ど定時で帰ることが不可能で寝泊まりすることもザラです。うちの部署は予算が少ないので月初めに前月の部署の超勤データを予算担当に提出しますが、大抵何割かカットして超勤データを修正するように指示が来ます。結局サービス残業が多いです。予算がある部署とない部署でこの差は大きいです。国会時期にはたとえ定時退庁日であっても質問通告が来ないと全部署待機命令が出ますので、待機解除が終電ということもあります。結構多くの人がメンタル面でやられて休職という事になります。議員は働き方改革と云々を言いますが、その裏で議員のための資料作りを徹夜でやることになる職員がいることをしっかりと認識して欲しい」
「ひどいのは、自民党。夜遅くまで新橋、赤坂あたりで飲んで、午前0時ごろ翌日の国会質問内容が来る。それから想定問答を作ります。比較的真面目は共産党。午後8時前後です。開会中はこれの繰り返しです」
官庁を相手に仕事をしている人からこんな同情の声が。
「夜中の1時にメールがくる程度なら、『ああ、今役所は割と忙しいんだな』というくらいの感覚でした。それでも、『月曜に出社してみたら、当日午前3時台(=日曜に出勤してそのまま泊まって仕事をしていたとしか思えない時間帯)のメールが届いていた』時は驚愕しました」
「何かと叩かれる官僚だけど、勤務に関しては民間より過酷だったりする。国会会期中だと1週間帰宅できないとかもザラ。通告をしてくるのが遅すぎる。野党は特に遅い。議員1人が遅くなると、霞が関全体が残る事になり、その残業代は凄まじい。で、出てくる質問がしょーもない。また、大臣が役人の作った作文を棒読みする答弁もひどいときている」
「1日3時間の残業って、霞が関はそんなに暇なの?」
安倍&菅政権に対してもこんな批判が。
「菅首相自身が官僚を働かせることを自負として売りにしているからね。杉田和博官房副長官のような公安警察出身の官僚トップに、政権に逆らう人間かどうか、いちいちチェックされて圧力を受けながら仕事をしなくてはならない。しかも、ときとして上司からの命令で公文書改ざんを指示されたりしてさ、本当に理不尽で不憫な境遇だと思う。実際に自殺者も出ているし、身体を壊した方も多いと聞く。若い官僚がやめたがるのも無理はないと思う」
ただ、こんな批判があるのも事実だ。
「元関係者です(今は完全に民間の会社の経営者です)。はっきり言って役所はムダ多い。やらなくてもよいことや非効率な事が沢山。でも簡単に変えられない事も知っています。前例主義をやめるべきだし、利権の取り合いはなくしたほうがいいよ。それが原因で縦割りの重複した業務ばっかりしているのだから」
「1日3時間の残業ということか。霞が関はそんなに暇なのか? まったく実態を反映していないのでは? こんなに少ないかな? パソコン履歴、サーバーアクセス履歴調べれば直ぐに判明しますよ」
「自主申告って...入退館の記録調べりゃわかるでしょ。官庁ともなれば今どき認証なしに出入り自由な職場なんてないんだし」
そして、河野大臣にこう期待する声があった。
「サービス残業は賃金不払いという犯罪行為だ。河野大臣はご自身が行政府の一員というご自覚がないようだ。労働基準局のOBにでも依頼して民間並みの査察を行うべきだ」
(福田和郎)