日本製品の不買運動が続くばかりか、文在寅(ムンジェイン)大統領自らが「脱日本」を訴え、日本から輸入してきた部品や素材の国産化を進める韓国で、意外なものが大人気になっている。
資源ゴミの廃プラスチックだ。特にペットボトルが重宝がられており、輸入の半分は日本からだという。
いったいどういうわけか。韓国紙を読み解くと――。
日本人はペットボトルを清潔にしてゴミ出しする
朝鮮日報(2020年12月27日付)が「『韓国の廃プラスチックは汚い』... 日本から廃ペットボトル昨年5万トン輸入」という見出しで、こう伝えている。
「韓国では廃プラスチックがリサイクルにつながらず、ゴミの山になっているが、その一方ではリサイクル業者が海外から廃プラスチックを輸入するという現象が起こっている。輸入が増えているのは、加工後に繊維・包装容器などにリサイクルするためだ」
朝鮮日報の取材に応じた繊維メーカー関係者は、
「一部のアパレルブランドでは環境にやさしいイメージ作りのためリサイクル繊維の納品を要求するが、韓国の廃プラスチックは質が落ちるので、清潔できちんと分別されている日本の廃プラスチックなどを輸入するしかない」
と話した。
廃プラスチックの中でも、特にリサイクル繊維を主に作る廃ペットボトル(PET=ポリエチレンテレフタラート)は昨年の輸入量が10万1900トンで、このうち日本からのものが5万5800トン(55%)と半分を超える。今年の輸入量(5万8200トン)でも40%が日本からのもの(2万2900トン)だという。
なぜ、文在寅政権の「脱日本」「克日」政策に反してまで、日本からの輸入に頼らざるを得ないのか。
じつは、韓国では資源ゴミのリサイクルシステムがあまり完備しておらず、リサイクル業者は国内で回収した資源ゴミの多くをもっぱら中国に輸出してきた。ところが、中国は2017年7月、国内の環境政策のために世界貿易機関(WTO)などに、プラスチック、ビニール、繊維、金属など24品目の資源ゴミの受け入れを禁止すると通知し、2018年1月から発効した。
ヨーロッパ諸国は新たな輸出先として東南アジアなどの新市場を確保した。しかし、韓国は新たな輸出先を見出すことに失敗。採算が悪化したリサイクル業者が2018年以降、プラスチックや発泡スチロールなどを回収しないとマンション管理事務所などに通知する騒ぎが広がっている。
こうしたこともあって、韓国のリサイクル業者は「高品質」の日本の廃プラスチックを輸入するようになったというわけだ。日本の廃プラスチックは接着剤を使わず、ラベルの分離も簡単で、韓国産の廃プラスチックに比べて収益性が高いという。
ところで、韓国では資源ゴミを清潔にしてから出すというモラルがないのだろうか。韓国国民の「ゴミ出し」事情はどうなっているのか。ソウルに部屋を借りる日本人向けの不動産のサイトをみると、リサイクルゴミ(資源ゴミ)に関しては日本とほとんど変わらないようだ。こう書いてある。
「こちらは(生ゴミ類と違って)専用の袋は必要ありません!日本と似たような感覚で紙、プラスチック、ビン、缶などをきれいな袋に集めて出すか、収集場に行くと分別できるようになっています。ただし、ペットボトルや缶などは洗ってから出してください」