だから、アメリカの株を買いなさい!【投資の基本を知る その4】(小田切尚登)

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自由な想像力とダイナミズムが原動力

   米国には、アマゾンやマイクロソフト、アメックス、コカ・コーラなどのグローバル企業が数多く存在している。これらの企業は、ベースがたまたまアメリカであるものの、ビジネスはグローバルに展開している。これらの企業に投資するということは、アメリカ企業を通じて世界に投資するということに他ならない。

   日本にもトヨタやキヤノンなどをはじめとするグローバルなメーカーがあるが、サービス業はドメスティックな企業が多く、将来の展望も明るいとは言えない場合が多い。日本経済という狭い枠組みにとらわれた投資家は、そういう企業の株式を多く保有していくことになるだろう。

   そして、アメリカ株式に投資すべき最大の理由は、何といってもその成長力にある。日本にいると米国についての悪いニュースばかりが聴こえてくる傾向にある。

   トランプ大統領の愚行、人種や貧富などによる差別、犯罪やドラッグ...... などだ。確かに矛盾を多く抱えた国であるが、それが世界で最も自由で多様な国の持つ宿命でもある。勝ち組と負け組の格差は想像を絶するところがあるし、競争は必ずしもフェアではない。

   しかしそれらを自由な想像力とダイナミズムとで乗り越えていく、あるいは流動的な要素を逆手にとって成長していく。これがこの国の持ち味であり、世界最先端のビジネスを次々に生み出す原動力となっている。

   アップル、インテル、テスラ、ヤフー、コストコ......。世界のビジネスに新しい1ページを刻んだ会社ばかりだが、これらの会社の共通点をご存知だろうか?

   すべて移民が作った会社なのだ。近年はそういうイノベーティブな会社がアメリカばかりで誕生しており、日本やヨーロッパでは残念ながら生まれなくなっている。日本で移民問題というとネガティブな面ばかりを想像しがちだが、米国は移民の持つプラス面を上手に活用してきた。

   失敗を怖れずチャレンジすることを良しとする文化的素地と移民の持つバイタリティーとが相乗効果を生んだということだ。

   じつはフォーチュン500(米国内の総収入トップの500社)の中には外国生まれの人が作った会社が100社以上、移民の子どもが作った会社が100社以上ある。合計するとなんと半数近くが移民またはその子どもが作った会社なのである。

   これは何も最近の傾向ということではなく、通信会社AT&T(スコットランド出身のグラハム・ベルが創業)、製薬会社ファイザー(ドイツ出身のファイザーが創業)、食品大手クラフト(カナダ出身のクラフトが創業)といった伝統的な企業でも、移民が作った会社は少なくない。そもそも米国は移民が作り上げた国なのである。

小田切 尚登(おだぎり・なおと)
小田切 尚登(おだぎり・なおと)
経済アナリスト
東京大学法学部卒業。バンク・オブ・アメリカ、BNPパリバなど大手外資系金融機関4社で勤務した後に独立。現在、明治大学大学院兼任講師(担当は金融論とコミュニケーション)。ハーン銀行(モンゴル)独立取締役。経済誌に定期的に寄稿するほか、CNBCやBloombergTVなどの海外メディアへの出演も多数。音楽スペースのシンフォニー・サロン(門前仲町)を主宰し、ピアニストとしても活躍する。1957年生まれ。
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