脂肪肝からNASHへの進行を抑える
そんな脂肪肝は、症状が軽く改善しやすいアルコール性の単純性脂肪肝(NAFL)と、肝臓の炎症を伴う非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の2種類がある。NASHは放置すると肝硬変、肝細胞がんへと進行することが知られている。
その頭文字から「ナッシュ」と呼ばれるが、「ナッシュは必ず脂肪肝から発症します。約3000万人の脂肪肝の方の、10人に1人が約10年かけて、ナッシュに進行することになります」と、栗原院長は説明する。
脂肪肝からナッシュへの進展を抑えるには、ストレス対策が必要だ。「ナッシュの段階に進むのには、活性酸素が影響します。そのため、ストレスや喫煙、紫外線などから発生する活性酸素対策が大切。しかし、最も重要なことはナッシュになる前段階の脂肪肝から早く脱却することです」と指摘する。
つまり、日々の生活から改善していくことが大切なわけだ。なかでも食生活は重要で、栗原院長は、「NAFL(アルコール性脂肪肝)はもちろん、飲酒を控えめにすることで改善できます。一方、ナッシュを克服するには過食をやめ、運動不足を解消することです。元凶は糖質の摂りすぎ。甘いものですね」。
アルコールの飲みすぎより、ジュースや果物、甘いお菓子の摂りすぎのほうが脂肪肝にはよくないとういうのは意外だが、栗原院長によると、じつはお菓子でもカカオ70%以上のカカオを含む「高カカオ」チョコレートは脂肪肝に効果的というから驚きだ。
「糖質の吸収を抑える食物繊維が豊富で、カカオポリフェノールが活性酸素を消去していることによって、肝機能の改善に役立っていると考えています。食事をする直前に1片食べておくと小腸での吸収が遅くなり脂肪肝の予防ばかりか、治療にもなりそうなのです。脂肪肝の治療は思いのほか難しい。そこで、カカオ70%以上の高カカオチョコレートを外来通院中でなかなか改善しない方々に食べていただきました。すると、何と驚くなかれ脂肪肝のみならず、ナッシュにも効果的だったのです」
と、栗原院長。「1回5グラム、1日3回の食事の前と、午前10時や午後3時のおやつも含め、1日5回(合計25グラム)を食べることをオススメします。カカオ自体にも同じ効果はみられるので、カカオが入ったココアなどもいいと思います」と言う。
カカオポリフェノールには、精神を安定させるリラックス効果があり、ストレス対策にもいいとされる。