「全世代型」社会保障制改革は「自助・共助・公助」で実現できるのか?(鷲尾香一)

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特例給付の対象外は年収1200万円以上から

   同時に発表されたのが、児童手当の見直し。「高所得の主たる生計維持者(年収1200万円以上の者)を特例給付の対象外とする」と盛り込まれた。これは、子ども2人の専業主婦世帯で年収1200万円以上からを対象に月額一律5000円の特別給付の対象外とするということ。2022年10月支給分から適用に向けて、21年の通常国会に必要な法案を提出するとしている。

   果たして、年収1200万円という基準が妥当かという点については、議論の残るところだろう。

   後期高齢者の医療費の自己負担割合の引き上げでは、次のように書かれている。

「後期高齢者(75歳以上。現役並み所得者は除く)であっても課税所得が28万円以上(所得上位30%)及び年収200万円以上(単身世帯の場合。複数世帯の場合は、後期高齢者の年収合計が320万円以上)の方に限って、その医療費の窓口負担割合を2割とし、それ以外の人は1割とする。
また、施行に当たっては、長期頻回受診患者等への配慮措置として、2割負担への変更により影響が大きい外来患者について、施行後3年間、1月分の負担増を、最大でも3000円に収まるような措置を導入する」

   2022年度以降、団塊の世代が後期高齢者となり始めるため、医療費における現役世代の

   負担が大きく上昇するための措置として打ち出されたものだ。

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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