41歳で夢だった小学校教員試験に合格「3人の子持ち、夫が単身赴任でも務まる?」女性の悩みに賛否激論(2)

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   41歳の会社員女性が学生時代からの夢だった「小学校教員」の試験に合格した。しかし、彼女には働くうえで厳しい状況に直面していた。

   年中、小2、小5と3人の子供がいる。しかも、夫は単身赴任中。母親は電車で3時間の距離......。教員という大変な仕事が務まるだろうか。

   そんな女性の悩みを吐露した投稿に、賛否激論が起こった。

   多くの人は、

「教員という仕事を甘く見ている」
「仕事に集中できない先生に子供を預けたくない」

   と反対した。

   一方、応援エールも寄せられた。

「家事代行やシッターを頼む方法もあるよ。頑張って」

   どうしたら、女性の夢をかなえることができるか。専門家に聞いた。

  • こんな子どもを教えたい!(写真はイメージ)
    こんな子どもを教えたい!(写真はイメージ)
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「『できない理由』だけでなく『できる理由』も探そう」

   J-CASTニュース会社ウォッチ編集部では、女性の働き方に詳しい、主婦に特化した就労支援サービスを展開するビースタイルグループの調査機関「しゅふJOB総研」の川上敬太郎所長に、今回の「40代で小学校教員になっても務まるか?」という投稿の話題について、意見を求めた。

――今回の投稿と回答者たちの意見、かなり厳しいやりとりですが、率直にどのような感想を持ちましたか。

川上敬太郎さん「これまでの社会の常識感や、それぞれ方の人生経験などと照らし合わせると、小学校教員として勤めるのは厳しいという意見になる人が多数いらっしゃることは当然だろうと思います」

――投稿者は長年の夢をかなえるために、教員試験に合格したわけですが、非常に厳しい家庭事情の持ち主です。子供が3人。年中、小2、小5です。しかも夫は単身赴任。母親は電車で3時間の距離。だからこそ大半の回答者は「教師を甘く見ている。無理だ」と反対しています。やはり難しいでしょうか。

川上さん「難しいと思う人が多いのは理解できます。ただ、たとえば仮に、投稿者さんがシングルマザーだった場合はどうでしょうか。さらに、今勤めている会社が倒産して仕事を失ったところに教員試験合格の知らせが届いたというシチュエーションだとしたら、受け取り方は変わってくるように思います」
「夫がいなければ当てにすることはできません。また、勤め先が倒産したならば、生活するために小学校教員として勤めるしか道はありません。もしそのような環境であれば、できない理由をならべて、難しいと途方に暮れるのではなく、必然的に『できる理由』を探さざるを得なくなるかと思います。『できる理由』に目を向けると、現状の見え方は変わってくるかもしれません」

――なるほど。現状からみて「できない」「難しい」とあきらめるのではなく、「できる理由」を探していこうというわけですね。

川上さん「そのとおりです。『できない理由」を並べることは比較的簡単ですが、『できる理由』を見つけるのは大変です。しかし、小学校教員として働きたいと思うのであれば、『できる理由』をどう見つけるかに集中すべきだと思います。
逆説的な言い方になりますが、そのためにはまず、『できない理由』を書き出してみることです。これ以上出ないというくらい書き出したら、次に『できない理由』一つひとつに対してできる方法を考え、『できない理由』を一つひとつ潰していく手法が最も現実的なのではないかと思います。『言うは易く行うは難し』ですが、何をクリアしなければならないかがわからなければ、不安だけが募ってしまい対処法も見えてきません。
今回、投稿を通して多くの方から『できない理由』を聞くことができたのは、みなさんの知恵を借りて『できない理由』を洗い出すブレーンストーミングを行ったのと同じだと思います。もちろん『できる理由』が寄せられたことも有意義ですが、『できない理由』を洗い出せたことも、とても有意義だったのではないでしょうか」

「家庭科教師など担任を持たない専科教職を選んだら」

――なるほど。問題点を整理、羅列して解決法を探る方法ですね。そういえば、応援のエールの中には「教育員会に相談すべきだ」「家庭科教師など担任を持たない専科教職を選んだら」「家事代行・家政婦・シッターを利用する」「万が一の時の病児保育」などのアドバイスがありましたね。

川上さん「すべて参考になる有益なアドバイスだと思います。それらのアドバイスが投稿者さんにとって、『できない理由』を『できる理由』に転換させうるものなのかを一つひとつ検証してみると良いと思います。また、サービスを利用するとそれなりの出費が伴うこともあるはずです。検証と並行して家計の収支もきちんと計算しておくことは必要です」
小学校の運動会
小学校の運動会

――ところで、投稿者は多くの反対論に対して追加の投稿で、『自分が働いてきた会社でも若い頃は残業のし放題だったが、今は働き方改革が進んでいる。教員も働き方改革をすべきで、何をするにも制限のないフルで残業をいとわずにできる人しか務まらないのはおかしい。そういう価値観の教師から子供が教育を受けてよいのだろうか』という趣旨の発言をしています。川上さんはどう思いますか。

川上さん「労働基準法が適用されない国家公務員を筆頭に、公務員の立場は民間企業と異なり、負うべき責任が特殊である面はあるのだと思います。ただ、その前提に立ったとしても、制限なく残業することを良しとする価値観がいいとは思いません。教員が疲れ果てた状態で殺伐とした精神状態になってしまえば、教える子どもたちにも少なからず負の影響が出るはずです」
「投稿者さんが今の価値観を大切にされつつ、小学校教員と家庭運営を両立するロールモデルのお一人となっていただければ素晴らしいことだと思います。男女という性別を超えて、あらゆる働き手にとって参考になるはずです」

「『できる理由』を探すときは夫と子供たちも一緒に」

――川上さんなら、この投稿者にどうアドバイスをしますか。

川上さん「『できない理由』の洗い出しでは、ぜひ夫にも協力してもらうと良いと思います。その上で、『できる理由』に転換させる際の知恵出しには、夫はもちろん、子供たちにも参加してもらい、家族みんなで解決策を考えることをオススメしたいと思います。
家庭運営は、家族全員の生活に影響を及ぼすものです。それは投稿者さん一人だけで背負い込むものではなく、家族全員が当事者です。投稿者さんが家族の犠牲になるべきものではないですし、家族を犠牲にするべきものでもないはずです。課題を家族全員で協力してクリアしていくのです。
そうすることで、何が『できない理由』になっているのかを夫や子どもたちと共有することができます。お子さんたちはまだ小さいかもしれませんが、家庭運営の当事者として状況を共有できれば、親が思っているより意気に感じてくれるかもしれません。子どもたちが頼れる存在になる可能性もあります。親が助かるだけでなく、子どもたちにとっても良き成長機会になるのではないでしょうか」
「その際、最も鍵になるのは、投稿者さんご自身の意志だと思います。小学校教員として勤めたい、という意志が明確なのであれば、『できる理由』を探すことに全力を傾けていただきたいと思います。夫も子どもたちも、きっとその"本気"を見捨てたりはしないはずです」

(福田和郎)

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