41歳の会社員女性が学生時代からの夢だった「小学校教員」の試験に合格した。しかし、彼女には働くうえで厳しい状況に直面していた。
年中、小2、小5と3人の子供がいる。しかも、夫は単身赴任中。母親は電車で3時間の距離......。教員という大変な仕事が務まるだろうか。
そんな女性の悩みを吐露した投稿に、賛否激論が起こった。
多くの人は、
「教員という仕事を甘く見ている」
「仕事に集中できない先生に子供を預けたくない」
と反対した。
一方、応援エールも寄せられた。
「家事代行やシッターを頼む方法もあるよ。頑張って」
どうしたら、女性の夢をかなえることができるか。専門家に聞いた。
「教師がやる気と情熱だけで務まるのは20代までですよ」
話題になっているのは女性向けサイト「発言小町」(2020年11月6日付)に掲載された「40代からの小学校教員」
というタイトルの投稿だ。
「41歳で初めて受験した小学校教員採用試験に合格しました。大学卒業以来、同じ会社で18年、3人の子育てしながら仕事を続けています。国立大学教育学部を卒業、今の会社に働いてきましたが、自分が心から喜ぶ仕事かというと騙し騙し続けているのが現状です」
というのだ。教員になるのが夢だったからだ。
ただし、家庭環境は非常に厳しい。子どもは年中、小2、小5。夫は飛行機の距離に単身赴任中。母親も頼めば定期的に来てくれるとは思うが、電車で3時間の距離に住んでいる。そこで、こう悩みを打ち明ける。
「教員になると(子どもの)朝晩の送迎が間に合うか、行事参加は調整が難しいか。でもやってみたい気持ちがあり、毎日逡巡しています。現役の教員の方、同じような子育て環境で教員になられた方のご意見とお聞かせください」
というのだった。
この投稿には、現役の教員、元教員、そして保護者など多くの人から回答が寄せられた。しかし、大半は「夫の協力なしで小さな子が3人では、大変すぎる」「教師という仕事を甘く見ている」という反対の意見だった。
「その年齢のお子さん3人、ご主人単身赴任、実家も遠いという環境で、時間外の仕事に追われる小学校教師に転身するのは無謀すぎます。まだ母親の手が必要なお子さんにしわ寄せがゆきます。自分のやり甲斐のためなら他のすべてを犠牲にして構わないくらいの傲慢さを感じます。人を教育したい? 目の前にいる自分の子供をないがしろにしてまで、『教育』を実践してみたいの?と」
「教師がやる気と情熱だけで務まるのは20代までですよ。元教員で、主人が教員です。私は、育児ができないと考えて辞めました。教員は朝早く、夜も残業ありです。小学生の2人の子供さんは、『いってらっしゃい』も『おかえりも』もできないですよね。知人の教員(女性)は義父母同居か隣家にいるとかです。帰宅したら子供たちもご飯お風呂が済んでいる。大学後輩の教員(女性)は、とりあえず夜9時に子供たちと寝るそうです。そして、午前2時に起きて、家事をしています。お母さんに一緒に住んでもらうしかないですね」
「今は時代が変わり、教師が自分の子供のために休むことは許容されるようになりましたが、それでも教師の道を選ぶなら自分のお子さん3人の学校の行事のすべてに参加するのは無理になるでしょう。公立の小学校の入学式、卒業式、運動会、文化祭等、自分の勤める学校とお子さんの学校と日程が被ったら、勤務先の方を優先できますか? 私のいとこは夫婦共に教師で、自身の子供は親(祖父母)に丸投げでした。結果、みな見事なお婆ちゃん子になっていました」
「子育てブランクを経て復帰した教員です。教員というのは人間を預かる仕事ですし、学習面だけではなく、生活面、人間関係、家庭環境、心の問題もあります。自分の家庭に合わせた時間ばかり気にしている状態では無理です。また、教員の大変さは授業や行事よりむしろ、生徒指導、家庭とのやり取りにあります。働いている保護者とのやり取りは確実に定時以降です。私はこの切り替えがうまくできなかったので、子育て期間はリタイアしていました」
保護者からも、こんな意見が。
「小学校に子供2人が通っています。保護者の立場からみても本当に先生は大変だと思います。たとえば、いじめの問題や親からのクレームなどでの話し合い。先生の中には精神を病んでお休みをとる方が何人かいらっしゃいました。頑張りが足りない、無責任など、親からの誹謗中傷も多いです。現実的には、大変すぎてしんどくなり お子さんにも負担がかかってしまうと思います」