いざというときに襲ってくる緊張、どうやって乗り切る?【尾藤克之のオススメ】

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「試験や受験で緊張して実力を十分発揮できない」
「人前で話すと緊張する」

このように、緊張しやすい人、緊張が苦手な人は少なくありません。緊張をコントロールして、パフォーマンスをアップさせるにはどうしたらいいのでしょうか。

「いざという時に結果を出す本番力」(和田裕美著)ポプラ社
  • いざというとき、どう乗り切る?
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頭が真っ白になるとどうなるの?

   「日本人の男性はシャイすぎる。何を考えているかわからない」――。著者の和田裕美さんは米国人の友人に、このように言われて「私もわからない」と笑って返したことがあるそうです。

   日本人は、根っこに流れる文化的な価値観が異なると、和田さんは指摘します。

「人前だとかなり緊張してしまう人や極端に、人に気を使ってしまう人は本番に弱い傾向にあります。うまく乗り切るには、『メンタル』と『フィジカル』の両方からアプローチすることが大切です。私たちがふだん、無意識に使っている考え方を『意識的に前向きな言葉に変えていくこと』が最初のステップになります」

   「失敗したらどうしよう」「練習していないからヤバイ」「俺、本番に弱いんだよ」――。このようなネガティブな言葉が量産されていくと恐怖が大きくなり、返って動けなくなります。まずは、深呼吸をして冷静になることを心がけましょう。

   さて、自律訓練法という、リラックスして集中できる方法を紹介します。1932年、ドイツのシュルツ博士が開発し、日本でも広く使われています。あがる、手が震える、声が上ずる、汗をかく、赤くなるなどの「対人恐怖症」が軽減されるなどの効果があります。

   次の順で練習してみてください。

(1)最初に服を緩め、両腕を軽く伸ばし、両足は少し開いてあおむけに寝ます。
(2)軽く目を閉じて、ゆっくりと腹式呼吸をする。呼吸のリズムが一定してきます。
(3)息を吐くときに「気持ちが落ち着いている」と頭の中で唱えます。

   次に、ゆっくりと四肢の重感練習を行います。

(1)「右手が重たい」→「左手が重たい」→「右足が重たい」→「左足が重たい」
(2)息を吐くときに合わせて頭の中で唱えます。3回ずつ繰り返します。

   今度は四肢の温感練習を行います。

(1)「右手が温かい」→「左手が温かい」→「右足が温かい」→「左足が温かい」
(2)手足の重感、温感を抱くことができたら、同じ要領で唱えます。

   練習がひと通り終わったら、両手を握り、少しずつ力を入れて、両腕を5~10回強く屈伸してから、大きく背伸びをします。最後に数回深呼吸をして目を開きます。

魔法の呪文をつくろう

   筆者が世界的なコンサルティング会社に勤務しているとき、自律訓練法はプレゼンスキルアップの有効なテクニックとして考えられていました。

   その会社では、この一連の手順を踏んだ後に「魔法の言葉」を唱えます。「魔法の言葉」とは自分を奮い立たせる言葉で、自己暗示をかけることが目的です。筆者は「絶対に大丈夫だ!」と心の中で唱えるようにしていました。

   和田さんにも「自分だけの呪文」があるそうです。それは、講演前に唱える呪文(マントラ)で、人が周りにいないときは小声で唱えます。

「今日、私がお会いする人たちは私の話を聞いて幸せになってくれます。落ち込んでいた人は元気になって、元気だった人はもっと元気になって、最後はみなさん、笑顔になってくださいます。私にはそれができると信じています」

   和田さんは、そう言います。

   この方法は間違いなく効果がある手法です。話し方、あがりは簡単には修正できませんが、トレーニングである程度のコントロールすることは可能です。治すのではなく、「コントロール」するように心がけるといいでしょう。(尾藤克之)

尾藤 克之(びとう・かつゆき)
尾藤 克之(びとう・かつゆき)
コラムニスト、著述家、明治大学客員研究員。
議員秘書、コンサル、IT系上場企業等の役員を経て、現在は障害者支援団体の「アスカ王国」を運営。複数のニュースサイトに投稿。著書は『最後まで読みたくなる最強の文章術』(ソシム)など19冊。アメーバブログ「コラム秘伝のタレ」も連載中。
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