古いアーティストを大事にするが、新人育成に失敗した
エイベックスが一時代を築いていたころを懐かしむ声も多かった。
「90年代のエイベックスは泣く子も黙る存在だった。音楽事業が基盤で、コンパクトディスク、メディアタイアップ。小室ファミリーを筆頭とするブーム、それらをエイベックス自ら作り出していた。しかしブームはいつか終わる。インターネットが時代を変え、人々も変わった。だが、テレビだけは変わらなかった。流れを読み取れなかったエイベックスはその犠牲になった」
「エイベックスって、じつはコンサート制作やプロモートで業績をあげていたのですよ。本業のレーベル業務やそれに付随したマネージメントよりもコンサートだったのに、このコロナが大打撃だったのでしょうね。あのエド・シーラン(編集部注:イギリスのシンガーソングライター)の日本ツアー・コンサートもエイベックスのプロモート&制作だったわけで、その業績がよかっただけに残念でならないでしょうね、この本社ビルの売却は」
「ユーロビートや小室サウンドを引き継いだようなピコピコなシンセや、プチセレブ&ギャル受けを狙った厚化粧感なサウンドが今のニーズにマッチしていない感があります(もともと時代に風化されやすいサウンドだし)。今って自然感やインディー感のある、あるいは韓国ナイズされたアーティストのほうがウケはいいので、時代が巡るまで我慢の時なのかも」
「昔はすごかった。今って音楽が冬の時代だし、テレビで囲い込む時代でもない。エイベックスは、アイドルをアイドルと割り切って売らず、アーティストとして売ろうとするところがあって、それが合っていないと思う。ネットをうまく活用できてないのと、育成がうまく行かなかったのかな」
「所属アーティストもほぼマニアックなタレントばかり。もはやインディーズレベル。時代にあったアーティストがいなさ過ぎる。今、老若男女が知っているのはピコ太郎、一番テレビに出ているのは川栄李奈。こりゃあ、先行きが見えていますね。賢い安室奈美恵が、傾き始めたことを見抜いていち早く辞めたのも一理はある。安室ちゃんがいなくなったのが痛手だね。売り上げの1割の年もあったと新聞に書いてあった」
話題になったドラマ「M 愛すべき人がいて」についても、こんな意見が。
「安斉かれんは浜崎あゆみの二番煎じで、もう一度浜崎あゆみを作ろうとした時代錯誤で大失敗だね」
「安斉さんのことはもうそっとしておいて。あのドラマ、今年に放映されたことすらもう忘れていたのに。何年も前のことみたい」
しかし、エイベックスをこう評価する声もあった。
「エイベックスは、他なら契約が打ち切られているようなアーティストでもあまり切ることはしないし、むしろ昔から所属している人への待遇は驚くほどよい。それはある意味でエイベックスのよい部分でもあるが、いかんせん新人の発掘・育成をしなさすぎた。(活動を休止する)AAA(トリプル・エー)の後釜のような存在を狙って育成していたlol(エルオーエル)もぱっとしない状態だし。非常に残念だ。頑張ってほしいな」
(福田和郎)