「90年代音楽の風雲児」エイベックスが自社ビル売却! カリスマ創業者・松浦勝人氏もコロナに勝てなかった

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   かつて小室サウンドや浜崎あゆみ、安室奈美恵などで一世を風靡した音楽・映像事業のエイベックス(東京都港区)が、コロナ禍に見舞われたあげく、自社ビルを売却したことがわかった。2020年12月24日、同社が発表した。

   エイベックスは今春、松浦勝人会長と自社のアーティスト浜崎あゆみの「実録不倫ドラマ」でも話題になったばかり。時代の風雲児が経営する企業に、いったい何があったのか。

  • 浜崎あゆみと松浦勝人氏をモデルにしたドラマ「M 愛すべき人がいて」(テレビ朝日公式サイトより)
    浜崎あゆみと松浦勝人氏をモデルにしたドラマ「M 愛すべき人がいて」(テレビ朝日公式サイトより)
  • 浜崎あゆみと松浦勝人氏をモデルにしたドラマ「M 愛すべき人がいて」(テレビ朝日公式サイトより)

従業員の3割がリストラに追い込まれて...

売却されたエイベックスビル(同社公式サイトより)
売却されたエイベックスビル(同社公式サイトより)

   エイベックスが12月24日、公式サイトに発表した資料によると、売却するのは東京都港区南青山のエイベックスビル。帳簿価格429億円で、譲渡益は290億円。物件の引き渡しは2021年3月26日の予定だが、その後もリースバック(賃貸)契約を結び、オフィスとして使い続ける。

   エイベックスビルは2017年12月の完成。17階建てだ。このビルがよほど自慢のものらしく、公式サイトには「エイベックスビルのすべて」というコーナーがあり、各階のユニークなスペースを撮ったアルバム集がある。「第31回日経ニューオフィス賞」「グッドデザイン賞2019」などを受賞したという。

   このビルを買った事業者は誰か。売却先について公式サイトでは、

「守秘義務契約により公表を控えさせていただきます。なお、譲渡先と当社の間には、資本・人的・取引関係など特記すべき事項はありません」

と明らかにしないため、ネット上では、

「いま日本中の不動産を買いまくっている中国系企業ではないか」

という憶測が流れた。しかし、日本経済新聞(12月23日付オンライン版)「エイベックス 本社ビル売却へ」は、

「カナダの大手不動産ファンド、ベントール・グリーンオーク(BGO)に売却する」

と報じている。

   いずれにしろ、エイベックスは本社ビルの売却益290億円を計上することによって、2021年3月期(連結)の業績予想を、営業利益は70億円の赤字だが、当期純利益は150億円の黒字に転換する見通しだと発表した。この結果、2021年3月期の期末配当予想は1株当たり96円、年間配当を121円になる。前年の年間配当が50円だから、大幅な増配。自社ビルの売却で、かろうじて純利益の黒字と株主への増配を確保した形だ。

   しかし、社員にとってはつらい結果になった。コロナ禍の影響によって営業利益は70億円という赤字(前年同期は40億円の黒字)に落ち込み、希望退職者を募っていたのだ。

   2002年以降、18年連続で開催してきた音楽フェス「a-nation」がオンライン開催となるなど、ライブイベント自粛の影響が大きく、音楽事業などに在籍する40歳以上で、対象社員は443人だった。グループの従業員数は今年3月31日現在、1556人だから、約3割のリストラを目指していたわけだ。

   ところが発表資料によると、希望退職に応募した人が103人。退職者には特別退職加算金を支給するほか、希望者への再就職を支援するという。

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