菅首相&下村政調会長の「飲食ルーズ」コンビが主導
ただ、「罰則規定をもうけてほしい」という動きは必ずしも菅首相だけの独断でない。東京都の小池百合子都知事らの要望でもある。小池都知事は12月23日、自民党の二階俊博幹事長を訪問、特措法の早期改正を求めた。
TBSテレビ(12月23日付)「『新型コロナ特措法』小池知事が二階幹事長らに早期改正要請」が、こう伝える。
「東京都の小池知事は自民党の二階幹事長らを訪れ、新型コロナ対応で知事の権限を強化するため、特措法改正を速やかに実現するよう求めた。(会議に同席した)下村博文政調会長は、小池知事との会談内容をこのように明らかにした。『(強制力を)伴う、つまり罰則規定を含めて、それをぜひ考えてもらいたいと。その場合は協力金等を一方で、自治体が出すことについて国の支援を併せてお願いしたいと。もともと知事会の要望も最初から組み込んで、党の提案も作っていると思うので、ほぼ入っていると思います』」
とはいえ、全国知事会が「特措法の改正」を緊急提言でまとめたのは12月21日だ。菅首相が下村政調会長を呼び、特措法の改正と罰則規定の設置を指示したのはその3日前の12月18日だった。
産経新聞(12月18日付)「コロナ対策特措法改正へ 来年の通常国会 首相と自民政調会長が一致」が、こう伝える。
「菅義偉首相は12月18日、下村博文政調会長と首相官邸で面会し、来年の通常国会で特措法の改正を目指すことで一致した。首相は『自分も改正すべきだと思っている』と述べた。特措法改正案には、事業者への休業要請に実効性を持たせるための罰則規定が盛り込まれる見通しだ。ただ、私権制限につながるとの懸念も根強い」
下村博文政調会長はこの2日前の12月16日、菅首相の「マスクなし8人ステーキ会食」が大ヒンシュクを買った時、記者団に、
「(批判は)過剰反応かなと思う。5人がよくて7人はいけないということではない」
と語り、菅首相をかばったばかりだった。
いわば、こうしたコロナ禍にもかかわらずルーズな「会食センス」の持ち主二人が主導する形で、飲食店などへの罰則規定の導入が進むわけだ。