コロナ禍にあって、少額投資非課税制度(NISA)が順調に口座数を伸ばしている。日本証券業協会がまとめた「NISA口座開設・利用状況調査」によると、2020年9月30日現在のNISAの口座数は887万口座で、6月末と比べて3.2%増、3月末からは6.3%増加した。12月16日の発表。
このうち、一般NISAの口座数は734万口座(6月末から1.0%増)。つみたてNISAは153万口座(同15.4%増)だった。また、一般NISA口座での買い付け額は累計で14兆1034億円(6月末比2.5%増)。つみたてNISAは3212億円(23.7%増)だった。
コロナ禍で先行き不透明感が増すなか、手元資金を少しでも増やしたいというニーズが投資未経験者のあいだで広がっており、証券会社が顧客のすそ野拡大のツールとして積極的に推進している。
一般NISA口座の42.2%が投資未経験者
NISAは、1人1口座に限り開設(金融機関の変更は可能)でき、年間120万円までの購入金額が非課税になる制度。通常、投資で得た配当金や分配金、譲渡による利益には20.315%の税金(源泉分離課税=所得税15%、住民税5%、2037年末まで復興特別所得税0.315%の合計)がかかるが、NISAを利用すると投資で得た利益(最長5年間)を、非課税で受け取ることができる。
いつでも自由に投資でき、いつでも引き出せる。主に株式や上場投資信託(ETF)、投資信託など、投資対象の商品の種類が豊富なのが特徴。いわば、投資の入門商品の位置付けだ。
今年9月末の証券会社の一般NISA口座における投資未経験者の割合は42.2%で、6月末から1.0ポイント増、3月末からは4.4ポイント増えた。また、つみたてNISAの投資未経験者の割合は、じつに78.9%にものぼる。6月末から2.2ポイントの増加。3月末からは5.1ポイント増えた。
口座数を年代別でみると、一般NISA口座における9月末の20歳代~40歳代の割合は31.7%で、6月から0.3ポイント増、3月末からは1.2ポイント増えた。9月末の50歳代~80歳代の割合は68.6%で、なかでも60歳代が19.6%、70歳代が21.6%と高齢者に多いのが特徴。
一方の、つみたてNISAは20歳代~40歳代の割合が78.3%と圧倒的。6月から1.1ポイント増、3月末からは2.6ポイント増えた。9月末では、30歳代が32.5%を占めている。
退職金などの、ある程度の資金を持っている高齢者は一般NISA。100円から積み立てられることや、若いうちから長期で運用して資産形成を図りたい人には、つみたてNISAというように、使い分けされていることがうかがえる。
コロナ禍の先行き不透明感や年金への不安の高まりから、老後に備えて資産を形成したいと考える人は増えており、その手段としてNISAが有効とみているようだ。