携帯料金値下げ「冬の陣」ソフトバンクのドコモ追随プランに落胆の声「これで菅政権の携帯値下げ終わったな」(1)

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   俄然、ヒートアップした携帯電話料金値下げ戦争「冬の陣」。どんな料金プランを持って参戦するかが注目されていたソフトバンクは2020年12月22日、20GB(ギガバイト)で月額2980円(税別)という新たな料金プランを発表した。

   しかし、これは先行するNTTドコモの新料金プラン「ahamo」(アハモ)とまったく同じ容量、金額という後追いの内容。オンライン専用で登録・受付をしてコスト削減を図る手法も同じだ。

   ネット上では、

「ガッカリ」
「期待外れ」

という声とともに、

「やはり大手はすべてメインブランドでの値下げはスルーなのか」
「最後に残ったauも同じだろう。これで菅政権の携帯値下げも終わったな」

と、落胆が広がっている。

  • 携帯電話料金は本当に下がるのか(写真はイメージ)
    携帯電話料金は本当に下がるのか(写真はイメージ)
  • 携帯電話料金は本当に下がるのか(写真はイメージ)

ドコモの「アハモ」プラス「LINE」がウリだが...

   ソフトバンクが12月22日に発表した資料によると、新しい料金プランは次のとおりだ(金額は税別)。

(1)来年(2021年)3月にオンライン専用の新たなブランド「SoftBank on LINE」を立ち上げて、20GB(ギガバイト)で月額2980円の料金プランを導入する。
これはNTTドコモが発表した「ahamo」(アハモ)と容量、金額ともにまったく同じで、強く対抗した姿勢を打ち出したものだ。店舗で受け付けず、オンラインで申し込み、コストダウンを図る手法も同じだ。
(2)「SoftBank on LINE」は通信アプリのLINEと組んで提供。LINEアプリはデータ量フリーで、5分以内の国内通話は無料。新たな通信規格「5G」も使えるようにする。
(3)また、本体の大容量でも新料金プラン「メリハリ無制限」を発表。データ使用量を無制限にしたうえで、次世代規格の「5G」向けを1900円値下げ、現在主流の通信規格「4G」向けを900円値下げ。どちらも使えていずれも月額6580円とする。
(4)小~中容量の第2ブランド「Y!(ワイ)モバイル」の料金も見直す。20GBのプランについては、5Gに対応させ無料通話をなくしたうえで、月額4480円を3780円に下げる。格安スマホの「LINEモバイル」は来年3月に新規受け付けをやめる。

などといった内容だ。

   今回の改定の特徴は、オンラインブランドとして店舗を持つことなく、サービスの契約など、すべての手続きをオンライン上で行なうことで、コストダウンを図ったこと。そのためLINEでさまざまな手続きが可能にすることだ。

   ソフトバンクは新料金プランを打ち出す枠組みとして、発行済み株式の6割を保有する傘下の格安スマホ「LINEモバイル」を吸収合併すると、榛葉淳副社長がオンライン記者会見で述べた。「LINEモバイル」の統合は来年3月ごろの予定で、それを踏まえ、LINEブランドを生かして新料金プランを提供するという。

ソフトバンクが発表したメリハリプラン(公式サイトより)
ソフトバンクが発表したメリハリプラン(公式サイトより)

総務省がサイトで「高いプランに誘導されるな」と警告

   ところで、相次ぐ携帯電話各社の新料金プランをよく理解するようにと、総務省は12月21日、携帯料金の専用サイト「携帯電話ポータルサイト」をオープンした。

「みなさん、自分にあった料金プランを選べていますか?」

と呼びかけた。

   大手4社のサービスの利用者のうち、43%が月当たり20GB以上の料金プランを契約しているが、実際に20GB以上を使っている人は11%しかいないと明らかにしている。7割近くが5GB以下で、必要以上の高額料金プランを勧められて、「もったいない」料金の支払いをしているとアドバイスしている=図表参照

(図表)必要以上の高額料金プランを勧められる人が多い(総務省の携帯電話ポータルサイトより)
(図表)必要以上の高額料金プランを勧められる人が多い(総務省の携帯電話ポータルサイトより)

   今回のソフトバンクの新料金、ネット上では「やっぱりね。ガッカリした」と冷めた意見の人が多かった。 フリーランスジャーナリスト山口健太氏は、こう投稿した。

「『SoftBank on LINE』は3月開始で詳細は後日発表となっているが、オンラインに特化し、20GB2980円でドコモの『アハモ』にぶつけてきた。LINEアプリでも手続き可能、LINE通話は容量にカウントしないなど、LINEユーザーに親和性の高いプランになりそうだ。従来の格安『LINEモバイル』とはまったく別のサービスという点にも注目。ネットワークはSoftBankやY!mobileと同じ品質で、LINEモバイルのように昼間に遅くなることはないそうだ。期間限定の割引をなくして料金表記を分かりやすくするなど、他キャリアで不評だった点を改善してきたのは好感が持てる」

   一方、企業のデジタルトランスフォーメーションを支援するアールジーン代表の小泉耕二氏は、こう指摘した。

「ソフトバンクの発表は、メインブランドの値下げには至らなかった。これまでの格安の『LINEモバイル』とは立ち位置が変わり、通信品質も改善されるもようで映(は)えるものの、『アハモ』対抗というレベルにとどまった。ソフトバンクは、グループ全体としては通信会社だけでなく、Yahoo!やZOZO、PayPayなどさまざまなサービスを配下にもち、デジタル方面ではさまざまな取り組みが可能な企業だ。それだけに、通信を安くするという目的では『LINEモバイル』を通信の起点とした総合的なサービスとしてのソフトバンクを押し出すという考え方なのかもしれない」

(福田和郎)

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