きょうは、40代後半のDさんです。
「『脱サラして数年経ちました』と言いつつ、まだ事業が軌道に乗っていないのでバイトもしながら生活をしています。もともとサラリーマンだったこともあり、周りから『子供の教育費もかかるし、そろそろ夢とか言っている場合じゃないでしょ。サラリーマンに戻ったら』など言われることも正直ありますが、それは何か違うんですよね」
脱サラして、数年経たれたDさん。それでもやり続ける、夢を追い続けるDさんの想いを聞いてみたいと思います。
続けるためには軸をブラさないこと
「じつはサラリーマンに戻ることが決してイヤというわけではないんですよ。自分の『やりたいこと』や『タイミング』が合えば、サラリーマンに戻ることも考えます。脱サラは飲食店から始まり、なんやかんや言ってずうっと飲食・食べ物に繋がる仕事をしていますが、飲食のお店を持ちたいわけではないんですよね。たまたま飲食なだけなんです。
『人が集まり笑顔で繋がる場所を作る』という夢、軸ですが、一番みんなの笑顔が『見えやすい、実感しやすい』それが飲食なんですよね」(Dさん)
Dさんは脱サラされてから、さまざまな形態で飲食に携わってきていらっしゃいますが、その根本の軸はぶれていないということですね。50代の方から、定年後はやりたいことをやってみたいが、自分が何をやりたいのかわからないという方もいます。
しかし、軸を見つけるためには自分のルーツを知ってみる、自分史を書いてみるのも一つの方法だと思います。
人生100年時代と言われながら、まだまだ50歳がひと区切りのようにも感じる世の中です。しかし、折り返しの50歳から大きく差が開いていくと思います。50歳からの人生をどう過ごすか、何もしないよりDさんのように軸をブラさず、動いた先には見えて来るものがあるはずです。
失敗したらサラリーマンに戻るのもありと、Dさんの中にあるのも挑戦し続けられる理由なんだと思います。あと、Dさんは家族の仲がとてもいいようですよね。やり続けるためには、自分よがりな気持ちではなく、家族の協力があってこそ成立していることに対して、家族への感謝の気持ちをすごく感じます。
現状維持は「退歩」でしかない
Dさんは脱サラされてから、仕事が数回変わっていらっしゃいますよね。
「間借りしていたお店が閉まってしまうタイミングで辞めたり、声をかけてもらって新しい仕事を始めたり、仕事が変わっていますが、いろんなコミュニティに参加したり、人と繋がったりで、『タイミング』と『縁』から、次の仕事に繋がっています。その中でも大事なのは先ほどもお話した『軸』です。
会社を離れると、繋がりは自分自身で作っていかないといけないので、会社以外のコミュニティは本当大事だなと思います。コロナ禍では随分、Zoomなどのオンラインツールに助けられました。年齢関係なく、時代の流れにはうまく乗ったほうがいいように思います。
ボーッとしていても、向こうから勝手にチャンスが来るものではないので、軸を持って動いた先にタイミングや縁があると思っています。
サラリーマン時代にはできなかった子供との関わり方や過ごす時間など、脱サラしたら手にしたものがたくさんあります。やってみないとわからなかったことでしたし、私にとって大きな収穫でした」(Dさん)
先日、あるデザインをやっている方とお話をしていて「ニーチェ 」の名言が出てきました。
「人生には進歩と退歩の二つしかない。現状維持とはつまり退歩している証なのだ」
同じ環境、同じ仕事、慣れることは本当にラクですし、心地いいです。しかし、その先には退歩しかないとすれば、やっぱりとても現状維持って怖いですよね。
もし、Dさんがサラリーマンに戻ったとしても、そこに安定を求めてしまうのであれば、やっぱりそれは違うと思います。
「そうなんですよね。本業が軌道に乗るまでは、と一時的にアルバイトをしていますが、だんだん今の生活に慣れてきている自分もいるんですよ。今の生活でも生活はできてしまうので、危機感がないと言えばなくて、『これではマズイ』と日々気持ちを奮い立たせています」(Dさん)
これからDさんの本業が、軌道に乗ることを祈っています。私も自分の変化を楽しみたいと思います。さっそくニーチェの本も買いました。(ひろ子ママ)