沖縄県民の半分が受信料を払わない理由は?
ところで、受信料を払わない世帯はどのくらいいるのだろうか。受信料の不払いが減らないことに業を煮やしたNHKは、2012年から毎年「都道府県別支払率の推計」を公式サイトで公開している。 今年6月に公開した最新の2018年&2019年データによると、2019年度末の全国の推計世帯支払率は81.8%で、前年度末の数値(81.2%)より0.6ポイント増と横バイ状態だ=別表(1)(2)参照。
おおむね、地方へ行くほど支払率が高くなり、大都市になるほど支払率が低くなる傾向がある。一番支払率が高いのは秋田県で98.3%。以下、新潟県98.1%、山形県96.0%、島根県95.3%と続く。一方、支払率が低いのは大阪府68.2%、東京都69.8%、北海道73.7%、福岡県78.0%、兵庫県79.4%、京都府79.6%など。
この中でダントツに支払率が悪いのが沖縄県だ。全国平均を30ポイントも下回る51.8%だ。ワースト2位の大阪府より16ポイント近く低い。これには理由がある。沖縄県は1972年まで米国の統治下だったため、そもそもNHKを受信できず、無料の民放テレビ局が先に進出する状態だった。沖縄県民にはカネを出してテレビを見るという「習慣」がなかなか根付かなかったわけだ。
その一方で、NHKは受信料不払い世帯を訪問して受信料契約を結ぶ「訪問営業」の評判があまりに悪いうえ、人員の確保などで莫大なコストがかかるため、見直しを表明したばかりだ。共同通信(12月3日付)「NHK、訪問営業を抜本見直し 受信料契約『トラブルも増える』」が、こう伝える。
「前田晃伸NHK会長は12月3日の定例記者会見で、受信料契約を結ぶための営業活動に関し、従来の訪問に頼る方法を『抜本的に見直す』と述べた。前田氏は、営業活動へのクレームが多く寄せられていることを認め『営業が頑張りすぎるとトラブルも増える』『成功確率が非常に低い』と指摘。各地のケーブルテレビ業者に案内を一緒に配布してもらうなどの代案を検討しているという。NHKはこれまで、職員以外にも各地の法人や個人スタッフに外部委託し、受信契約を締結するための戸別訪問をしてきた」
(福田和郎)