2021年は2度「感染爆発」シナリオも......
金融機関やシンクタンクの「2021年の経済見通し」はどうか――。
三井住友信託銀行は調査月報12月号の「2020・2021年度の経済見通し」で、年末に向かって顕著になっている新型コロナウイルスの感染拡大を懸念材料に、「サービス消費の回復を一時停滞させるほか、不確実性の高い状況下で設備投資や雇用・賃金の回復遅延も重石となる」と指摘。実質GDP成長率は、2020年度マイナス5.4%、2021年度は3.4%の回復にとどまると予測した。「経済活動水準が感染拡大前に戻るのは、2022年度後半以降となろう」としている。
欧米ではすでに接種が始まったワクチンは、日本でも12月18日に承認申請がなされ注目が高まっている。リポ―トによると、「新型コロナウイルスのワクチンは2021年度中に主要国での接種が始まるものの、世界的な普及は2022年度以降となり、予測期間中は引き続きウイルスへの警戒が景気回復の重石となり続けることを想定する」としている。
2020年、2021年度の見通しについて、数字に細かな違いはあるものの、アウトラインはほぼ重なる。緊急事態宣言の2020年5月が景気の底で、それ以降、緩やかに持ち直し、2021年も継続していくという判断は他社とも共通している。
ニッセイ基礎研究所経済研究部の斎藤太郎経済調査部長による「2020・2021年度経済見通し」(10月8日の発表)では、2020年度の実質GDP成長率がマイナス5.8%、2021年度は3.6%成長と予想した。「コロナ後の新しい生活様式によって、これまでなかった需要が新たに生み出されることは期待できる。しかし、従来型の需要の消失分を短期間で取り戻すことは難しい」とみている。