5人に1人はうつ病や統合失調症などの精神疾患にかかっているといわれる現在の日本。新型コロナウイルスの蔓延により、その傾向にますます拍車がかかっています。
不安やイライラなど、ストレスへの対処法を知らなければ、仕事もプライベートもうまくはいかないでしょう。困難な状況を一段と悪化させて、それ自体が大きな障害になることが多いという研究結果が存在します。
「図解ストレス解消大全」(堀田秀吾著)SBクリエイティブ
怒りを覚えたら10秒待つ
私たちは怒りを覚えると、神経伝達物質であるアドレナリンやノルアドレナリンが分泌されます。顔が赤くなったり、血圧が高くなったり、心臓の鼓動が早くなったりするのは、これらの神経物質によるものです。
一方、怒りを抑えるのが前頭葉と呼ばれる脳の部位ですが、これが働き出すのに4~6秒かかります。この4~6秒をやり過ごせれば、前頭葉が働き出して冷静に物事を把握しやすくなり、キレるという危険な行動を回避しやすくなります。
著者の堀田秀吾さんは、
「ノースウェスタン大学のフィンケルらは、15~17歳の交際経験のある936人の男女を対象にアンケート調査をしました。過去1年間に、恋人に対して暴力的な行動をしたことがあるかなどを尋ねた後、暴力や暴言を行う人たちにどんな特徴があるかを調べたところ、暴力的な行動をしていた人は自己統制力が低いという共通点があることがわかりました」
と言います。
「なんと自己統制力が低い人は、高い人と比べると約10倍近く暴力的な行動をしていたというのです。またフィンケルらは、18~21歳の71人の被験者たちに、イライラする内容(交際相手が浮気をする内容)のシナリオを開かせ、心に浮かんだことを自由に話してもらうという実験も行っています。この実験では、被験者を次の2つのグループに分けました」
グループ1 = シナリオを聞いた直後に思ったことを言ってもらう。
グループ2 = シナリオを聞いたあと、10秒待ってから思ったことを言ってもらう。
「すると、後者は前者に比べて暴力的な言葉を使う頻度が半分以下になったというのです。この実験はまさしく前頭葉の働きを利用することで怒りをマネジメントしたケースです。ストレスによって怒りが溜まったときには10秒待つ。たったそれだけで爆発を抑えることができるのです」