在宅ワークでモチベーション下がった? それは経営者のリーダーシップで防げます(西野一輝)

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   コロナ禍で在宅ワークになり、モチベーションが下がっている人が増えていると聞きます。

   その要因の一つが、在宅ワークで体調が落ちた。とくに多いのが、腰や肩、首すじのこり、痛みや目の疲れ。対面ではなく、パソコンに対峙して長時間の仕事が続く状態です。

  • 在宅ワークの機会が増えて、なんか不安……
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モチベーションが下がった社員が鼓舞され職場

   取材した食品メーカーに勤務しているDさんは、ランチする時間もないくらいにリモート会議が続く毎日。さらに会議が終われば、メールの処理や書類の作成が続きます。こうした仕事ぶりで疼痛と呼ばれるズキズキと痛むがあちこちから出てくる状態になっているとのこと。

   こうした疼痛はモチベーションの減少に影響し、仕事の成果にも支障が出そうな気配まで出てきているようです。「この状態が続けば、メンタルやられてしまうかもしれません」と大きな不安を抱きながら仕事をしている状態は、問題ではないでしょうか。

   さらに、仕事へのやる気が低下したと回答する人は、東日本大震災のときの比ではないようです。先が見えない、いつになったら元の日常に戻るのか? 不安が増幅されて、モチベーションが下がるのは仕方ないかもしれません。

   それでも、モチベーションが下がった社員が鼓舞されて、意欲的に状況がキープできている職場もあるようです。

   その要因となっているのが、刻々と変わるコロナ感染の状況に対して対応がすばやく、一貫していたことのようです。さらにその対応を、細やかにメッセージが発信されている。たとえば、感染者が減少してきたので出社する社員比率を上げることになり、出社の指示が出たのですが、感染者が再び増加。「本当に出社しても大丈夫なの?」と不安を抱く状態になったときに、「出社を指示しましたが、社員の健康を守るためにリモートに戻します」と前言を素早く撤回する会社。

速やかな判断ができない会社で起こっていること

   一方で出社と決めたのだから、後戻りはできない。また、リモートに戻す判断するには来週の経営会議で判断するしかないと、速やかな判断ができない会社もあります。

   でも、そんな何事もすぐに決められない、何を考えているのかわからないとすれば、不安は増幅するだけ。取材で増加する感染者数に対して、会社がどのような対策を考えているのか? 何も発信がない会社の社員に話を聞きましたが、頼りにならないから転職するとの決断を何人もしかける状態になっていました。

   逆に言えば、速やかに判断。対策を発信してくれると、社員は安心できて、仕事のモチベーションが下がることは回避できるでしょう。

   時間をかけて考える、全員のコンセンサスを取らないと発信できない。会議は決まっているから、そのタイミングにしか決められない。たいていの会社は時間をかけて判断をして、発信することで間違いを減らそうと仕組みを構築しています。

   ふだんはそれでもいいのですが、社員が不安に駆られるような危機的状況では、その仕組みに捕らわれずに、速やかに対応する。まさに経営者がリーダーシップを発揮するタイミングとも言えます。不安を解消するため、頻繁に発信を心がけていきましょう。(西野一輝)

西野一輝(にしの・かずき)
西野一輝(にしの・かずき)
経営・組織戦略コンサルタント
大学卒業後、大手出版社に入社。ビジネス関連の編集・企画に関わる。現在は独立して事務所を設立。経営者、専門家など2000人以上に取材を行ってきた経験を生かして、人材育成や組織開発の支援を行っている。
著書に、「モチベーション下げマンとの戦い方」(朝日新書)がある。
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