コロナ禍のなか、災害時などでも対応できる小型の移動診療所が登場した。ピースノート(宇都宮市)、ヴィガラクス(神戸市中央区)、FOREMOST(東京都中央区)の3社は協同で、2020年12月16日から建築用コンテナ(10フィート)を活用し、陰圧設備を内蔵した小型の移動型診療所 「モバイルクリニックLITE」 の販売を始めた。
「モバイルクリニックLITE」は、医療従事者の感染リスクを最小限まで減らすことを目的に設計された、移動型診療所。日本の建築基準法に合致した10フィートの建築用コンテナ(約7平方メートル)に、感染症拡大防止の陰圧設備(米疾病対策予防センター基準を大幅にクリア)を内蔵している。
「モバイルクリニックLITE」は、台風などの悪天候にも耐えうる頑強さとモビリティ、医療用レベルでの感染症対策設備を併せ持つ。使用する目的に合わせて、「発熱外来タイプ」と「PCR検査室タイプ」から選べる。
現在、日本各地の医療施設で採用が進む、20フィートの建築用コンテナを活用した「モバイルクリニック」と比べて、建築確認申請が不要となる場合があり、運搬・設置のしやすさ、コスト面で優れているという。
想定している用途は、
(1)新型コロナウイルス対策で、発熱専用外来や検査室を増やす必要がある医療施設・介護施設
(2)院内感染を防ぐため陰圧室を別棟で、しかも短期間で建てる必要がある総合病院・クリニック
(3)公共イベントの開催場所や交通機関のハブなど、人が密集する場所での一時的な医療エリア
(4)被災地や過疎地域での医療拠点
――のようなケース。
この事業は、企画・開発・販売のピースノート、製品開発・販売のヴィガラクス、FORMOST(コンテナ製造)の3社が結んだ「建築用コンテナを使用した移動型診療所に関する開発協定」に基づく。各社の異なる強みを掛け合わせて開発したという。
3社はこれまでに20フィートの「モバイルクリニック」を、全国で40棟(設置予定含む)販売しており、より小型で安価な「モバイルクリニックLITE」の普及を期待している。
本体価格は420万円。