「GoTo停止」に自民観光族「これは政局になる」
菅首相の「言行不一致」は自民党内に、波紋を広げている。一つは12月11日にインターネット番組に出演した際、
「みなさん、こんにちは。ガースーです」
とチャラけた挨拶をしたことだ。
朝日新聞(12月17日付)「『ぶれない』信条頑なにGoTo、医療費...... 軋む政権」が自民党内に「政局」になりかねない「アンチ菅」の動きが起こっていることを伝えている。
「この(ガースー)発言にネット上で『無神経だ』などと批判が集中。首相に近い自民党幹部は『余計なことを言わなくてもいいのに』と漏らし、政権幹部は『首相に情報が入っていないことに注目している人は多い』と、首相の『孤立』ぶりを危ぶむ」
菅首相には政権内に、参謀役・調整役が不在であることが問題だという。安倍晋三前首相は、菅官房長官に支えてもらったが、菅首相には「菅官房長官」がいないというわけだ。
そんななか、GoToトラベルの停止を急きょ独断で決めたことが、自民党内に猛反発を生んだ。朝日新聞がこう続ける。
「トラベル停止表明から一夜あけた12月15日、自民党本部であった国土交通部会では、出席者から『総理の判断でも納得できない』といった不満が噴出した。ざわめく党内に、閣僚経験者は『政治の局面が転換した可能性がある』との見方を示す」
「政治の局面」とは、すなわち「政局」。政界用語では「政局になる」とか「政局にする」という言葉は「権力闘争」とか「倒閣運動」を指すことが多い。かなり生臭い言葉だ。自民党交通部会は観光族のドンで、全国旅行業協会の会長を務める二階俊博幹事長の牙城だ。二階俊博幹事長は、ギリギリまで菅首相の「GoToトラベル停止」を聞かされていなかったといわれているのだ。
ちなみに、菅首相が大ヒンシュクを買った高級ステーキ店での会食は、二階幹事長の主催だった。菅首相は12月16日、日本テレビのインタビューで、こう語っている。
「ご挨拶だけで失礼しようと思ったが、結果的に残って話をした。大いに反省している」
菅首相は二階幹事長によほど頭が上がらないらしい。
(福田和郎)