「5人以上飲食」で「マスク会食」もしない菅首相
8人の平均年齢が77.6歳であることから、12月17日放送のテレビ朝日系情報番組「羽鳥慎一モーニングショー」で、白鴎大学の岡田晴恵教授はこう皮肉った。
「平均年齢が77.6歳。(GoToトラベルの自粛の時も高齢者は控えてと訴えていたから)忘年会はおやめになられたほうがよかった。国民に自粛をお願いしているとき、非常にまずかった」
とコメントした。
同番組によると、「ひらまさ」の看板メニューは国産黒毛和牛のヒレ肉ステーキで、前菜に肉のタルタルやキャビア、アワビなども供され、シェフのお任せメニューが約3万円から。飲み物やサービス料などと合わせて1人6~7万円が相場だという。
まずいことに、この12月14日は菅首相が「全国一斉の年末年始のGoToトラベル停止」を決定。年末年始の飲食の自粛も訴えて、
「5人以上の飲食では飛沫が飛びやすくなる。多人数の飲食を控え、ぜひマスク会食を。飲食の場での感染対策を徹底するようお願いしたい」
と呼びかけていたのだった。
読売新聞(12月17日付)「首相『5人以上で会食』陳謝」も、こう呆れている。
「出席者によると、(ひらまさでは)向かい合わせにならないよう横並びのカウンター席に座ったが、アクリル板などは設置されておらず、政府が推奨する『マスク会食』もしなかった。コロナ禍の会食をめぐり、政府は飲食店支援事業『GoToイート』については運用を『原則4人以下』の利用を制限するよう全国の知事に要請している」
それなのに、「マスク会食」もせずに王貞治氏の「野球談議」に大いに盛り上がったという。お互いに唾は飛ばなかったのだろうか。高齢者ばかりで大丈夫か。
産経新聞(12月17日付)「首相、多人数の会食陳謝」は別の面での菅首相の言行不一致を、こう指摘する。菅首相はかねてより、GoToトラベルは感染拡大の原因になっていない、むしろ飲食が危険だと強調してきたことだ。
「菅首相は『かねて(専門家から)飲食の場面で感染リスクが高いと指摘されている。加えて、気温の低下が影響するということだ』と注意喚起。さらに『最前線で尽力している医療従事者の支援をしっかり行っていきたい』と語った。国民に長時間・大人数での食事を避けるよう呼び掛けているなか、自身が二階幹事長らと多人数の会食に参加していた」
と糾弾した。
菅首相は12月16日、記者団にこう陳謝した。
「他の方との距離は十分ありましたが、国民の誤解を招いたという意味においては真摯に反省をいたしております」
と弁解したのだが、その舌の根も乾かぬうちに16日夜、日本料理店とフランス料理店をはしご。地元神奈川県の金融関係者2人と、政治ジャーナリスト田崎史郎氏、読売新聞幹部、日本テレビ役員らマスコミ関係者3人と会食した。外で飲食せずに、首相官邸に呼んで会うことはできなかったのか。
こうしたまったく反省の色がない菅首相に対して、朝日新聞(12月17日付)「首相言動ちぐはぐ 相次ぐ批判・苦言」はリスクコミュニケーションの専門家、吉川肇子・慶応大学教授のこんな批判を紹介している。
「コロナ対策で、政府は国民に自主的な努力を求めてばかりいる。その努力の目安を首相自らが守らない姿勢を示していることになり、国民の信頼をさらに損ねることになるだろう。『GoTo』で旅行を促進しながら3密の回避を呼びかけるなど、同時に達成できない目標が目立つ。そうした政府の一貫性のなさを象徴している」
一貫性のなさは自民党議員たちも同様だ。驚くのは自民党の各派閥の忘年会が12月17日に開かれる予定だったことだ。今回の問題を受け、急きょ中止にしたという。全員参加するつもりだったかは不明だが、二階派が48人、岸田派が47人である。「年末年始、多人数の飲食は控えよう」という呼びかけは何だったのか。