「介護なら即採用。隠れた『福祉の心』に気づくかも」
別の業種からも誘いの声が相次いでいる。
「製造工場ですが、相変わらず募集出しても来ないですよ。パッと見の賃金は安いですが長く働けるから定着率はいい。慣れるまでの数年が少し大変なだけ。土日休み。危険作業なし。重い運搬なし。エアコン完備。清潔な職場。残業は月に0~20時間。超繁忙期でも40時間で、もちろん残業手当全額支給。いま離職している人って仕事選び過ぎなのでは?」
「鉄鋼会社の関連子会社ですが、慢性的な人不足ゆえベトナム人の研修という名の派遣を受けています。昔の大学卒でない人が普通にやっていた仕事の成り手がいなくなって困っている業界は建設以外も結構ありますよ」
「私は、食品製造会社で働いています。前職のプライドを捨てて勤務しています。時給はかなり下がりましたが、切り詰めるところを切り詰めて、今はのびのびと仕事をしています。以前よりストレスもなく楽しい毎日です」
また、慢性的に人手不足の介護業界からの誘いも多かった。
「勤め先がコロナで傾き、仕事が激減になったので、夜間に介護の副業を始めました。結果、以前以上の収入が確保できました。初めは体力的、精神的にしんどかったけれど、ひと月も頑張れば慣れるものですね。よく失業イコール自殺みたいな安直なニュースが流れますが、気持ちひとつで人間何とかなるものです」
「介護業界はイメージ最悪だけど、始めてみたら、意外と自分の知らなかった『福祉の心』が目覚めた、という人もいたりします。合わない人は無理かもしれませんが、とりあえずダメもとで、近くの介護施設に電話してみるといいと思います。多くの施設が即日採用状態です」
しかし、「仕事ならなんでもいいというわけにはいかない」という声があるのは確かだ。
「いくら離職中でも仕事は選びたいもの。死ぬか生きるかとか、路上生活よりいいとか言われても極端すぎる。何十年もキャリアを積んできた人が、いきなり建築や介護現場にはなかなかいけない。適材適所、向き不向きがある」
「30代前半。コロナで失業。長年正社員経験あり。雇用形態、仕事内容、勤務地等選ばずに60社くらい必死に探して応募しているが、連絡があったのは3社のみ。ほとんどの会社が連絡すらしてこない。応募しても連絡してこないのに、再掲載されていた例もある。面接した2社は『応募締め切りました』。なら、面接前に連絡を入れるべきだ。残り1社が合否連絡待ち。これが現状です」
最後にこんな前向きの人々の声を紹介したい。
「自分は自営の運送業をしていますが、なんとか廃業せずに年を越せそうです。周囲からはこんな時期に営業をしても仕事なんかあるわけがない。やるだけ無駄といわれたが、限られた予算の中で1年間営業活動をしてきました。たった2社だが、毎月使って下さる会社が見つかった。0(ゼロ)でなかったことがうれしかった。コロナだから仕方ないと諦めて他の仕事につくのか。何クソと自分を奮い立たせて頑張るのか。それによって未来が変わってくる。今年はたくさんの会社の担当者と話ができ、来年以降の望みにつながった気がします。来年は48歳になり、結婚も周囲からは無理と言われていますが、これも諦めていません」
(福田和郎)