牛乳や水に溶かして飲む麦芽飲料「ミロ」を提供しているネスレ日本が、2020年12月8日、同製品の販売休止を発表した。
健康ブームで出荷が追いつかず、2021年3月まで販売を休止する。コロナ禍と関係しているのか? ネスレ日本の広報担当者に聞いた。
牛乳や水に溶かして飲む麦芽飲料 前年比約7倍に
「ミロ」といえば、牛乳や水に溶かして飲む麦芽飲料。現代人不足しがちな鉄分、吸収されにくいカルシウムの吸収を助けるビタミンDなど2種のミネラルと6種の栄養素を豊富に含んでおり、子どもの頃に飲んだことがあるという人も多いだろう。味は甘く、ココアのような風味だ。
その「ミロ」が現在、販売休止となっている。新型コロナウイルスの感染が広がるなか、コロナとの関係があるのだろうか?
ネスレ日本の広報担当者によると、コロナとの関係には言及しなかったものの、一般的な社会背景や傾向としてとしたうえで、
「健康意識や健康志向の高まりにより、今まで以上にご自身や家族の健康に関して気を付けるようになったこと、ご自宅にいる機会が増え、家族と過ごす時間が増えたことが挙げられるかと思います」
と話す。
では、どうして出荷が追いつかないほどバカ売れしているのか? 広報担当者は、
「カルシウム、鉄、ビタミンDなどが豊富に含まれる『ミロ』の価値とそのおいしさがあらためて注目され、お子さまだけではなく、大人のみなさまに飲用が広まったことから、2020年7月より、需要が急増しました。インターネット(SNS)上でお客さまのあいだで話題となっていることが、その一因と考えています」
と続ける。
ツイッター上には、
「品切れってテレビでやってたけど...」
「小学生とかの頃、MILOを牛乳に混ぜて飲むのが最強の飲み物だと思ってた。MILOが一時販売休止ときいて 調べてみたらコロナとか関係なく、想定以上の 注文が続いていて供給計画を上回ったからとのこと」
「また買えなくなりそうなので自分用に2袋買ってきた。先月買えなかったときに代わりに森永牛乳で飲むココアを買ったけど、栄養面の部分でも代替になりそう」
といった「ミロ」ロスの意見が散見される。
オーストラリア生まれ、国内の製造所は東京都内に2か所
麦芽飲料「ミロ」は、1934年にオーストラリアで誕生した。当時、大恐慌時代に貧しい食事と低栄養に苦しんでいたオーストラリアの子どもたちのために開発された。日本でも「強い子のミロ」をキャッチフレーズに、1973年に発売されて以来、40年以上にわたり販売されている。
また「ミロ」の原料(粉末)はシンガポールで製造し、輸入していて、詰め替えや充填(じゅうてん)を行っている国内の製造所は2か所で、いずれも東京都内にある。