「終身雇用・年功序列の時代は終わった」と叫ばれる近年。多様で柔軟な働き方を、誰もが選択できる社会を実現するため、政府が掲げるのは「働き方改革」である。
なかでも、わたしが気になるのは、副業への改革だ。コロナ禍でリモートワークなどの新しい働き方も急速に見られるようになった今、「副業」「複業」「パラレルワーク」は従来の働き方とは違った新しいキャリアの築き方として、もっともっと注目されるべきだと思う。
これまでの「当たり前」と新しい働き方の可能性
少し前までは、新卒で一つの会社に入社し、そこから長い時間をかけて会社の中でキャリアを築き上げていくことが、いわば「当たり前」だったのではないかなと思う。だからこそ必然的に、(その会社で出世したいと考えるなら)会社への帰属意識を強く持つし、会社以外の場所で副業するなんてもってのほかだと考えられていたのだろう。
そんなわけで、ほとんどの会社では当たり前のように副業が禁止されていたし、働く側もそれについて疑問を持つことはあまりなかった。
そんななか、働き方改革の一環として2018年に副業・兼業を促進する流れが生まれる。この背景には、少子高齢化に伴う労働人口の生産力向上を促す政府の意図が透けて見えないわけでもないけれど、それはひとまず置いておいて。何はともあれ、これまで当たり前のように禁止されていた「副業」にスポットライトが当てられ、少しだけ柔軟な働き方が示されたことには違いない。
「柔軟」と言ってしまうと語弊があるかもしれないけれど、個人的に「副業」や「兼業」は多様な働き方を実現する第一歩であると思っている。自分のキャリアを築くフィールドが、一つの会社内という閉鎖的な空間だけではなくて、もっともっと大きく広がる可能性を秘めていると思うからだ。