楽曲の著作権管理事業のNexTone 競合する「巨人」JASRACからシェアを奪えるか!?(一橋大学)【企業分析バトル 第7戦】

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強み生かして約5%のシェア拡大へ

   音楽コンテンツの著作権管理事業で、NexToneの競合はJASRACのみである。市場のシェアを見るときの指標となる著作権使用料徴収額で比較すると、2019年度の実績ではNexToneが55億円、JASRACが1177億円である。つまり、現時点でのNexToneのシェアは5%ほどしかない。

   しかし、NexToneはシェアの拡大につながる強みをもっている。一つは、委託者(著作権者)との契約形態が委託契約となっている点だ。委託契約では著作権がNexToneに移転しないため、権利者に裁量が残る。一方で、JASRACは信託契約の形をとっているため、著作権はJASRACに移転し、権利者の意思を反映しがたい。この点が両社の最も大きな違いであり、十分に権利者がNexToneを選ぶ理由になると考える。

   加えて、NexToneはDD事業とキャスティング事業を通じて、管理楽曲の利用と浸透を促進している。これは著作権利者、利用者、NexToneの三者にメリットをもたらす構造になっており、NexToneの強みの一つだ。

   こうしたことから、NexToneのシェアは引き続き拡大すると考えられる。

出典:NexTone 2021年3月期第2四半期の決算説明資料
出典:NexTone 2021年3月期第2四半期の決算説明資料

   財務状況はどうだろうか。ROA(総資産利益率)は4.1%、ROE(自己資本利益率)は8.4%、自己資本比率は49.0%と大きな問題はなさそうである。また、無借金経営を続けていることは好印象だ。

   ただし、予想PER(株価収益率)は105.1倍、PBR(株価純資産倍率)は10.6倍と、株価には過熱感がうかがえる。株価チャートを見てみると、上場時に1580円の値を付けてから大きく上昇し、8月26日には一時、上場来高値となる1万2600円の値がついた。

   その後は緩やかな下落傾向にあり、11月下旬時点の株価は8000円弱。指標から割安感が感じられるわけではないが、NexToneが成長率を維持すれば実績が株価に追い付くのではないかと考え、11月25日に終値と同じ7750円で100株を購入することにした。

NexTone(7094)
年初来高値(2020年8月26日)     1万2600円
年初来安値(2020年3月30日)        1580円
株式取得時の株価(2020年11月25日)    7750円
取得株数                   100株

【株式取引ルール】
月200万円を上限に最低1銘柄(企業)を選ぶ、バーチャル投資です。
投資対象は、新興市場を含む上場企業の現物取引です。
1年間のトータルで損益を競います。
プロフィール
一橋大学 オレオ
法学部2年。投資サークルに所属しており、試行錯誤をしながら企業分析を勉強中。株式投資は未経験だが、この企業分析バトルを機に少しずつ始めたいと考えている。趣味は音楽鑑賞やピアノを弾くこと。群馬県出身。
「シューカツに使える企業分析バトル カブ大学対抗戦 Season2」を通じて、財務分析と意思決定の精度を少しでも向上させることができるように、頑張ります。
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