心や脳の休息や、落ち着いた行動に役立つとして近年注目が高まっている「マインドフルネス」。その実現のために欠かせないとされる睡眠の質の向上や瞑想・リラクゼーションの実践をアシストするアプリとして「世界ナンバーワン」を標榜する「Calm(カーム)」が、日本語のコンテンツを備えて初上陸を果たした。
日本での事業スタートにあたって、アプリを開発・配信している米Calm.com社の共同創設者で、共同CEO(最高経営責任者)であるアレックス・テュー氏とマイケル・アクトン・スミス氏らがオンラインで発表会見を、2020年12月8日に開催。日本市場参入への意気込みなどを語った。
良質な睡眠や瞑想は「新しい健康法」
Calmは2012年に、ともに実業家のテュー氏とスミス氏が瞑想指導を事業としてロンドンで創立。その後、いわゆるウエルネスの分野でカバーする範囲を睡眠や音楽などに拡大し、2013年に米サンフランシスコ(シリコンバレー)で配信ビジネスを立ち上げた。
2019年には、評価額10億ドルを達成して、メンタルヘルス業界で世界初のユニコーン企業(創業10年以内の、企業価値が評価額10億ドル以上で未上場のテクノロジー系のスタートアップ企業のこと)に急成長。テュー氏は、良質な睡眠や瞑想などのメンタルフィットネスを、1970年代のジョギングに擬して「新しい健康法」と述べ、さらに成長の機会を模索している。
その一つが日本進出だ。スミス氏は、日本進出を弾みに、「21世紀のアイコニックブランド」になることを思い描いているという。
確立した配信ビジネスは、コース仕立ての瞑想指導のほか、厳選された自然の環境音、プロナレーターによる読み聞かせなどの豊富なコンテンツをそろえる。その一方、手ごろな価格設定(日本では年間6500円)で利用者が増加。今回の日本での事業スタートで、そのグローバルネットワークは190か国、言語では7か国語の対応に広がった。
近年のマインドフルネスブームの中で、CalmはアップルのAPPストアでも、グーグルのPlayストアでも、「ヘルスケア&フィットネス」のカテゴリーでダウンロードのランキングで「ナンバーワン」になっている。
テュー氏によると、Calmの人気はすでにアジア太平洋地域で高く、それに呼応して強まった日本語版への要望に応えようと日本進出が実現。また、コロナ禍の影響で、日本では2024年までデジタルフィットネスの需要が伸びることが示されている調査結果もあり、有望な市場だと判断したという。
スミス氏は「これまで8年間、世界をより健康に、より幸せにすることに努めてきた。そのためにCalmを世界中に広めることが不可欠と考えている」と述べ、日本の企業従業員の6割以上がストレスに悩まされていることを示す調査結果などを引用し、日本事業に取り組む理由を説明した。