メルケル首相の「魂の演説」を聞け! 「勝負の一週間」で浮き彫り、菅首相と雲泥の差(井津川倫子)

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菅首相の経済政策に米メディアは「自身の生き残りのため」

   一方、メルケル首相の演説とほぼ同じタイミングで73兆6000億円もの新たな経済対策を打ち出した菅首相。GDP(国内総生産)に換算して3.6%程度にも及ぶ経済効果を見込む「大型経済刺激策」に海外の注目も集まりましたが、「絶賛」とはいかないようです。

   米ブルームバーグ通信社は、「自身の生き残りのための賭け」と報じました。

Suga Makes a $708 Billion Bet on Political Survival
(菅首相は、自身の政治的生き残りのために73.6兆円を賭けた:米ブルームバーグ通信社)
make a bet:賭けをする

   記事では、直近に行われた世論調査で、菅内閣の支持率が前月の63%から50.3%に「skid」(滑る、横滑り)したことにもふれて、大型経済対策の真の目的は「コロナで疲弊した経済の立て直し」ではなく、「菅首相の政治的生き残りだ」と伝えています。

   「経済」か、それとも「人の命」か、と秤にかけるものではありませんが、メルケル首相の演説からは「何としてでも国民の命を守りたい」という想いが、凄みを感じるほどに伝わってきます。

   一方、海外メディアからも「自身の政治的生き残り策」と評される菅首相の姿勢。国会の答弁や記者会見での発言からも、「私たちの命」を守ってくれそうな熱いメッセージは伝わってきません。メルケル首相の動画に心打たれただけに、思わず寒々しい気持ちになってしまいました。

   それでは、「今週のニュースな英語」は、「emotional」(感動的な、感情がこもった)を取り上げます。最近は「エモい」といった表現を耳にすることが多いですが、「エモーショナル」が元になっています。

Merkel made an emotional speech
(メルケル首相が感動的なスピーチをした)

Merkel's speech was so emotional
(メルケル首相のスピーチはとても感動的だった)

He became emotional when he heard her speech
(彼女のスピーチを聴いたら、彼は感情的になった)

   米誌フォーブスが選ぶ「世界で最も影響力のある女性」ランキングで、メルケル首相が10年連続で1位に選ばれたというニュースが飛び込んできました。今期限りでの政界引退を表明しているメルケル首相ですが、コロナ禍で見せた人間味あふれるリーダーシップぶりに、続投を望む声が広がりそうです。(井津川倫子)

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井津川倫子(いつかわりんこ)
津田塾大学卒。日本企業に勤める現役サラリーウーマン。TOEIC(R)L&Rの最高スコア975点。海外駐在員として赴任したロンドンでは、イギリス式の英語学習法を体験。モットーは、「いくつになっても英語は上達できる」。英国BBC放送などの海外メディアから「使える英語」を拾うのが得意。教科書では学べないリアルな英語のおもしろさを伝えている。
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