2020年の全国の正社員の平均年収は409万円で、前年比1万円増だったことが、パーソルキャリアが運営する転職サービス「doda」の調べでわかった。2020年12月8日の発表。コロナ禍による年収への顕著な影響は見られなかった。
転職サービス「doda」に登録した約40万人のデータをもとに集計。「平均年収ランキング2020」にまとめた。
投資銀行やコンサルティング「専門職」が独占
ランキングを職種別にみると、全163職種のうち、平均年収ランキング1位は「投資銀行業務」(819万円)、2位は「運用(ファンドマネジャー/ディーラー)」(748万円)、3位は「戦略/経営コンサルタント」(724万円)となり、1~3位を「専門職」が独占した。さらに、5位に「業務改革コンサルタント(BPR)」(688万円)、7位に「リスクコンサルタント」(668万円)がランクインし、前年に続き今年も、トップ10のうち半数を、「金融系専門職」と「専門職(コンサルティングファーム/専門事務所/監査法人)」が占める結果となった=下表1参照。
業種別をみると、全96業種のトップ10には「メーカー」「金融」「メディカル」系の3業種がそれぞれ3つずつランクインした=下表2参照。1位は前年に引き続き「金融」系の「投信/投資顧問」で673万円(前年比プラス25万円)。2位は「メーカー」系の「たばこ」で641万円(同プラス50万円)、3位は「メディカル」系の「医薬品メーカー」で629万円(同プラス29万円)となり、2位と3位は前年と順位が入れ替わる結果になった。
女性は4つの年代すべてで前年よりも増加
年代別でみると、20代は348万円(前年比プラス3万円)、30代は444万円(プラス2万円)、40代は510万円(プラス3万円)となった。一方で、50代以上の年代のみ9万円マイナスの613万円という結果に=下表参照。
年代を男女ごとで区切って見てみると、女性は4つの年代すべてで、前年よりも平均年収が増加しており、男性は20代、30代、40代は増加。50代以上は10万円ダウンした。
都道府県別では、2020年の全体の平均年収(409万円)を上回っているのは、東京都(444万円)、神奈川県(430万円)、千葉県(412万円)のみで、労働人口が特に多い東京都が全体の平均年収をけん引する結果となった。
1位の東京都(444万円)と47位の沖縄県(348万円)とでは96万円の開きがあり、46位の山形県(358万円)とのあいだでも86万円の差となった。
4位が茨城県(408万円)、5位に埼玉県(406万円)と、上位5位までを首都圏が占めた。6位に静岡県(405万円)、7位栃木県(403万円)、8位愛知県(402万円)、9位兵庫県(401万円)、10位滋賀県(400万円)が並び、トップ10の顔ぶれは前年と同じだが、11位には昨年の20位から9つ順位を上げて、「山梨県」(393万円)がランクインした。391万円の「山口県」(前年22位→今回13位)や386万円の「福島県」(33位→16位)、384万円の「福井県」(31位→18位)なども大きく順位を上げた。
「コロナの影響で出勤日が減り、給与が減った」との声も
全体では前年より1万円増という結果になったが、「doda」では新型コロナウイルス感染拡大前の期間が含まれていることもあり、コロナ禍による年収への顕著な影響などは見られなかったとしている。
しかし、2020年8月に1万5000人のビジネスパーソンを対象に行った、仕事満足度に関するインターネット調査では、今年度の給与に対して、「コロナの影響で出勤日が減り、給与が減った」「ボーナスがなくなった」「在宅勤務で残業が減り、給与が減った」といったコメントが多く寄せられという。
「doda」編集長の喜多恭子さんは、
「2020年は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、フレックスやリモートワークなど新しい働き方が急速に広まり、働く環境が大きく変化しました。さらに、この先も仕事や転職を取り巻く状況は刻々と変わることが予想されます。働き方の変化や時間外労働の上限規制による残業時間の減少、中途採用においては、ポテンシャル採用から経験重視の即戦力採用へとシフトする動きなども見られます。これから年収を条件に転職活動をする場合や、現職での万一の収入の変化に備えるためにも、常に新しい情報にアンテナを立てておくことをオススメします」
と話している。
なお、調査は 2019年9月から2020年8月末までに、dodaエージェントサービスに登録した20~65歳の男女で、正社員が対象。有効回答数は約40万件。なお、平均年収は支給額ベース。