コロナ禍、消費者が手を伸ばすパッケージデザインをどう作るか?

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「大きな変化があったとき」は2つの視点で

   知識編の中で掲げているテーマの一つに、「大きな変化があったとき」がある。前著の「図解でわかるパッケージデザインマーケティング」を書いた翌年に東日本大震災が発生。そして本書を執筆している2020年には新型コロナウイルスによる感染拡大という事態に見舞われたことが、このテーマを加えた理由だ。

   大震災でも、コロナ禍でも、人々は今までどおりの生活ができなくなり、それは、生活様式や購買行動にも反映される。

   「パッケージデザインは人々の日常生活と直結」しており、「その影響がダイレクトに表れる」。人々は安心・安全を最優先し、ロングセラーブランドに回帰する傾向が強くなる。「心理的に新しい商品を探索し、購入しようという気持ちが薄れるという面と、物理的に普段の買い物に時間をかけたくない、かけられなくなるという両面があるように感じる」と著者。

   その一方で、人々は困難な中にあるときは希望の光や、新しい光を求めるもの。東日本大震災のときには地域への思いや人とのつながりの大切さのアピールがしばしば聞かれた。コロナ禍では、オンライン飲み会で映える酒製品のパッケージデザインを特集するような、たくましさもみられた。

   著者は、

「大きな変化があったときには人の強さと弱さの両面を見据えた『ロングセラーブランドの強化』と『人々の希望に寄り添うこと』の2つの視点がパッケージデザインに必要だと感じる」

という。

   知識編ではまた、「対称と非対称」でそれぞれに込められた意図や、「顔写真」を使うリスク、プルトップ缶やマヨネーズなどのチューブ容器に託されたメッセージ、ネーミングや色づかいの背景などについて解説。これらを読んでからスーパーに出かければ、買い物以外の楽しみ方ができそうだ。

「売れるパッケージデザイン 150の鉄則」
小川亮著
日経BP
2900円(税別)

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