東京の感染者600人超でも「GoToトラベル続行」に変わりナシ 菅首相「勝負の3週間って何だったの?」と怒り殺到

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   東京都の新型コロナウイルスの新規感染者が2020年12月10日、ついに600人を超えて過去最多の602人となった。全国でも最多の2970人が感染、第3波に歯止めがかからない状態だ。

   政府対策分科会の尾身茂会長をはじめ医療関係者は「GoToトラベルの停止」を訴えるが、菅義偉首相は何の手も打たず、トラベル続行の構えを崩さない。ネット上では、「菅首相、勝負の3週間宣言は何だったのか!」と怒りの声があふれている。

  • 12月10日、新型コロナウイルスの新規感染者数が600人を超えた(写真は、東京都庁)
    12月10日、新型コロナウイルスの新規感染者数が600人を超えた(写真は、東京都庁)
  • 12月10日、新型コロナウイルスの新規感染者数が600人を超えた(写真は、東京都庁)

尾身茂会長「GoToトラベルは停止すべきだ」

危機感が感じられない小池百合子都知事
危機感が感じられない小池百合子都知事

   東京都は12月10日15時時点の速報値で、過去最多の602人が都内で新たに新型コロナに感染していることを確認したと発表した。年代別にみると、30代が最も多い137人、次いで20代が135人、40代が111人、50代が86人。重症化リスクが高い65歳以上の高齢者は77人だった。

   12月10日には千葉県でも過去最多の151人をはじめ、埼玉県(188人)、岐阜県(45人)、京都府(75人)、大分県(25人)、高知県(20人)、山形県(15人)、佐賀県(12人)で過去最多を更新している。

   東京都では10日午後、新型コロナの感染状況を分析・評価する「モニタリング会議」が開かれた。東京都で11月に確認された65歳以上の感染者は「第2波」の8月の2倍近くに増えており、専門家は、

「通常医療との両立が困難な状況となっている。医療提供体制がひっ迫しはじめている。高齢者への感染の機会をあらゆる場面で減らすことが重要だ」

と危機感をあらわにした。出席した東京都医師会の猪口正孝副会長は、

「完全まひに陥っているわけではないが、いかにここで食い止めるかだ」

と述べ、一層の警戒を促した。

   ただ、記者会見に応じた小池百合子都知事は、

「不要不急の外出の自粛と、小まめな手洗いなどの5つの『小』(こ)を徹底しましょう」

といつものセリフを繰り返しただけだった。

GoToトラベル停止を必死に訴える尾身茂分科会長
GoToトラベル停止を必死に訴える尾身茂分科会長

   一方、政府の新型コロナウイルス対策分科会の尾身茂会長は、再三再四にわたって「GoToトラベルの停止」を訴えている。12月9日の衆院厚生労働委員会の閉会中審査で、立憲民主党の山井和則議員が、

「東京は高齢者や基礎疾患の方だけ(の自粛)ではなく、少なくともGoToはいったんとめるということをすべきではないですか」

と質問すると、尾身会長はこう答えた。

「(東京などステージ3相当に該当する地域については)今の時期、感染の今、この状況を打開するためには、GoToを含めて人の動き、あるいは接触を控えるべき時期だと思っております。(また、政府がGoToトラベルを延長すると決めたことについて)GoToは自治体が控えるように呼び掛けている『不要不急の外出』に含まれます。新型コロナをしっかり抑えて下火にしてから国民の理解を得てやる方が経済的にも影響があると思います」

と指摘したのだった。

   ステージ3は、4段階中2番目に深刻な状況を指すもので、尾身会長はこれまでに東京23区や大阪市、札幌市、名古屋市などが相当するとの認識を示している。

加藤官房長官「ステージ3の危険な地域は存在しない」

   日本医師会の中川敏男会長も12月9日の記者会見で、

「旭川市や北海道に限った話ではなく、地域医療が瀬戸際に追い込まれる状況にある。医療従事者の心身の疲労もピークに達している。全国で市中感染が拡大している現状では、誰もが感染している可能性がある。最強の感染拡大防止策は、一人ひとりの日常の、慎重で愚直な所作と行動だ」

として、マスクと手洗いなどの基本動作とともに、極力移動を控えるよう呼びかけた。

GoToトラベル続行に執着する菅義偉首相
GoToトラベル続行に執着する菅義偉首相

   しかし、菅政権は12月8日に決定した追加経済対策で、GoToトラベル事業の延長方針を打ち出したばかり。菅首相自身が旗振り役となっていることもあり、事業停止には否定的だ。菅政権は「ステージ3」に該当する地域は存在しないという立場をとっており、尾身茂会長ら医療専門家の訴えに対し、加藤勝信官房長官は12月9日の記者会見でも、

「現時点においてステージ3に該当すると判断された都道府県はない」

と述べ、事業を継続する方針を強調した。

   こうした頑なな菅義偉首相に姿勢について、ネット上では猛批判の声があふれている。

「菅さんが総理でいる以上、コロナ対策は何も期待できない」

   エコノミストの門倉貴志氏はこう投稿した。

「一般的に政府が打ち出す財政政策は一度やると決めてしまうと、後戻りすることが難しいという硬直性がある。GoToトラベル同様の特性があるため、後戻りする必要性が出てこないよう、事業を始めるタイミングを見極めることが重要だったのだが、コロナ収束前という最悪のタイミングで見切り発車してしまった。第3波が全国規模で急拡大している現状で、GoToを臨機応変にファインチューニング(微調整)することなどできるはずがなく、医療崩壊を阻止するためには、GoToを(東京を含めて)全国一律に直ちに停止すべきではないか」

   ほかにも菅首相の「勝負の3週間」宣言はどうなったのか、という批判が多かった。

「今日は600人以上の感染者が発表されたが、もし1000人以上になっても菅さんは緊急事態宣言を出さないと思う。菅さんの先日の記者会見を見て、コロナ問題には関わりたくなく、やる気がないのがよくわかった。菅さんが総理大臣でいる以上、今後も期待できそうにない」
「勝負の3週間は何だったのか? 菅さん、何か勝負かけました? もはや感染を抑え込むのは無理。むしろ悪化している。もう病床を確保すればいいとかいう次元ではない。人が足りずに自衛隊にお願いしている現状に応えるべきだ。首相になった時、コロナ対策を最優先と言及しながら、このありさまなら明らかに能力不足も甚だしい。二階幹事長と共に責任をとり、河野太郎さんに変われば?」
「これまでで最悪の内閣かもしれませんね。菅政権が専門家の意見を無視してGoToを続けている間に、どんどん人の命が犠牲になり続けています。尾見茂さんが2週間前(編集部注:11月27日)に述べた『個人の努力だけに頼るステージはもう過ぎた』という言葉。これ結構重要な言葉で、分科会としての政府に対する最後通告だったと思う」

   特に、強い対策に打って出ない小池都知事に対しても、こんな批判の声が。

「コロナ対策に関しては『国が決めてください!都にはお金がありません』と言いながら、5日前に東京五輪の追加予算で都から1200億円、国から710億円...を決めた。コロナには金を出したくないが、できるかどうかも怪しくなっている五輪には気前よく支払う小池都知事。五輪に出すお金があるなら、せめて最前線で頑張っている医療従事者の方や施設の設備投資に使って欲しかった。政府も小池都知事も明後日の方向しか見ていない」

(福田和郎)

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