テレワークの善し悪し 大企業と中小企業のコミュニケーションの違いとは?(大関暁夫)

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オンライン会議を「無機質」に感じた社長の決断

   その会議の終了後、T社長に直接「やっぱり会議は顔を突き合わせてするものですね」と水を向けると、社長は堰を切ったように語り始めました。

「コミュニケーションというのは、お互いの体温を感じてはじめてコミュニケーションなのだと思います。私は中国で画面の中の皆さんと話をしていて、これは何か違うぞと感じていました。こんな無機質な会社を作った覚えはないとも思いました。いずれはこれがあたり前の時代が来るのかもしれないのですが、私はそんな会社の社長はやりたくないなと。中小企業の強みは、『人肌コミュニケーション』にこそあるのだと信じて疑っていません」

   約10年の時を経て巡り合わせの産物とはいえ、テレワークが当たり前になりつつある昨今、T社長が言っていた「いずれはそれがあたり前の時代が来るのかもしれない」の「いずれ」が今なのかもしれません。

   しかしながら、少なくともオンライン会議で感じたT社長の考えと同じことを感じている中小企業経営者が今も複数いるということは、中堅・中小企業にとって「人肌コミュニケーション」の大切さは変わっていないのではないかとも思うのです。中小企業経営者にとって、テレワークの導入が社内の面前コミュニケーションの重要性見直しの一助になるなら、それはまた新たなテレワーク効果と言えるのかもしれません。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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