2020年11月の株式市場は、記録的な上昇をみせた。具体的には、2020年11月2日に2万3110円で取引を終えた日経平均株価は、11月30日の大引けで2万6433円に達した。わずか1か月間でおよそ15%の上昇となり、1990年代のバブル崩壊後の相場以来となる高値水準を記録した。
この11月は株式市場に大きな影響を与えるような、実社会の出来事が多数あった。それらを振り返ってみたい。
爆上げはバイデン氏勝利の米大統領選から始まった!
11月初旬の3日には、4年に一度のアメリカ大統領選挙が実施された。現職である共和党候補のドナルド・トランプ大統領と、民主党候補のジョー・バイデン氏が競い、主要メディアの多くが事前予想で民主党の勝利を報じていた。
当初は共和党の優勢で進んでいたものの、郵便投票の開票が進むにつれ逆転。複数の主要メディアが民主党の勝利を報道すると、日本の菅義偉首相を含めた複数の国の首脳がバイデン氏に祝電を送った。
これに対して、現職のトランプ大統領は郵便投票が不正の温床になっていると主張。選挙管理人による多数の宣誓供述などを証拠として、最高裁を含む各地での訴訟を次々と展開している。
株式市場で興味深かったのは、「トランプ相場」などで株価の底上げに貢献してきたとされる現職のトランプ米大統領の再選が困難とする報道がなされたにも関わらず、株価は上昇に転じ、その結果として今年11月は記録的な上げ幅となったことだった。
また、米大統領選後も株式市場にとって好材料となるニュースが報じられた。米国の製薬メーカーであるファイザー社が、新型コロナウイルスに対して90%以上の予防効果を持つとする新型ワクチン候補の中間解析結果を発表した。
なお、執筆時点でファイザー社は米食品医薬品局(FDA)に対し、緊急使用許可を申請している。もし許可されれば、「数時間以内に」供給開始が可能になるという。供給が開始されると、まずは医師や看護師が接種の優先対象となる。