世界中の株式市場が、新型コロナウイルスのワクチン開発の動向に注目。この情報に一喜一憂する状況が続いている。米製薬大手のファイザーが開発したワクチンは、2020年12月15日に出荷が始まる予定だが、同社が4日、年内の供給目標を引き下げたとの情報が伝わるなどの懸念材料が再び広がった。
一方、部分的なロックダウンが続く欧州では、欧州中央銀行(ECB)が10日に開催する理事会に注目が集まっている。政策金利は据え置かれるとの見方だが、追加金融緩和への期待感が高まっている。
どうなる!? 今週の株式・為替マーケット!
東京株式市場 2万7000円にらむ
日経平均株価予想レンジ:2万6000円~2万7200円
2020年12月4日(金)終値 2万6751円24銭
今週の東京株式市場の日経平均株価は、上値の重い展開か。
前週の日経平均株価は、小幅ながら5週連続で上昇した。ただ、2万7000円を目前に短期的な過熱感もあり、高値警戒感から上値が重い展開だった。
今週の日経平均株価は、2万7000円台乗せを試す局面もありそうだが、上値の重い展開になると見られる。日経平均株価は11月の急速かつ大幅な上昇から、高値警戒感が強まっている。
米国で新型コロナウイルスのワクチンの配布が2週間以内に開始されるなど、ワクチン開発の進展に関する報道が出ても、相場の反応が鈍くなっている。加えて、米製薬大手ファイザーが開発したワクチンで副作用が出ているとの一部報道など懸念材料も出ている。
ただ、週末の米国市場で11月の米国雇用統計が非農業部門雇用者数は市場予想を大きく下回ったが失業率が低下したことで上昇しており、日経平均株価の支援材料となりそうだ。
東京外国為替市場 ワクチン実用化が好材料、ドルを下支え
ドル・円予想レンジ:1ドル=1ドル=103円00銭~105円00銭
2020年12月4日(金)終値 104円14銭
今週の外国為替市場でドル円相場は、レンジ内の取引となりそうだ。
前週のドル円相場は、レンジ内の動きとなった。米国の新型コロナウイルス感染拡大を懸念し、リスク回避のドル売りから一時1ドル=103円台半ばまで下落したものの、週末の11月の米国雇用統計の結果を受けて追加経済対策への期待感が高まったことで、ドル買いが優勢となり、1ドル=104円前半まで値を戻した。
今週のドル円相場は、引き続きドルの上値は重く、レンジ内での取引となりそうだ。12月10日のECB(欧州中央銀行)理事会での追加金融緩和策の期待感からユーロ買い・ドル売りが進み、ユーロ・ドルは2018年4月以来のユーロ高水準となっている。
これがドル売り・円買いにつながっており、ドルの上値は重い。ただ、米国での新型コロナウイルスのワクチン実用化の進展が好材料となり、ドルの下値を支えている。このため、ドルが大きく下げる可能性は低いと見られる。
経済指標は、国内では7日に10月の景気動向指数、8日に10月の家計調査と毎月勤労統計調査、7~9月期GDP(国内総生産)確報値、9日に10月の機械受注、10日に10~12月期の法人企業景気予測調査、11日にメジャーSQ算出日などが予定されている。
海外では、中国の11月の貿易収支、9日に中国の11月の生産者物価と消費者物価、10日にECB定例理事会とラガルド総裁会見、米国の11月消費者物価などが予定されている。
(鷲尾香一)