コロナ禍から「再起動」するための新テクノロジー100の技術

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非接触・非対面、ドローン宅配に注目

   一方、コロナ禍では、なにごとにも非接触や非対面の仕様が歓迎されるようになり、当初はドローンによる物流に大きな期待が寄せられたものの、規制緩和の遅れやルール作りの難航、社会の受け入れが進まないなどの理由で、なかなか浮上しなかった。

   ところが、コロナ禍の長期化の影響もあり、米シリコンバレーの新興企業を中心にドローンによるコンタクトレス配送の取り組みが始まっている。

   米国では、感染者の数がケタ違いに多くなっている。そのため、マスクや手袋などの防護用品や医薬品などをドローンで配送する環境づくりに積極的だ。1回のフライトにかかるバッテリーの電気代は微々たるもので、また、配送元から目的地までほぼ直線で行けるので配送効率も高い。広い庭などがありオープンスペースを確保しやすい米国の住宅事情には適した配送手段だ。

   米サンフランシスコで2014年に設立されたドローン専門の配送会社、ジップラインは2020年5月から、ノースカロライナ州シャーロットで医療施設へ防護用品や医薬品のドローン配送を始めた。この取り組みは、同州の運輸当局が手がける試験プログラムの一環。感染拡大を抑える一助になるとして米連邦航空局(FAA)が認可した。

   コロナ禍がきっかけになって、米国では大手物流会社も医薬品のドローン配送に乗り出している。宅配大手UPSとドラッグストアチェーン大手CVSヘルスが今年5月から、フロリダ州の高齢者居住地域に住む約13万5000人に向け、医薬品をドローンで運ぶことにしたものだ。ドローンで地域のそばで運び、その後は配送車で個別に届ける。

   住宅地とスーパーマーケットなどの小売店が離れた場所にある米国では食料や日用品についても、コロナ禍でドローン配送の需要が急増。グーグルの兄弟会社でドローン配送を行っているウイングによると、この5月上旬時点でオーダーが週1000件ほどにもなったという。

   ドローンは、正確性、安全性が向上しており、ジップラインをはじめ米国各社は、米国以外の各国各地域でも、規制が緩和されていけば人手をかける陸路配送より安価に行えると考えている。

「日経テクノロジー展望 コロナに立ち向かう100の技術」
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