非正規の40代女性が公務員試験に合格!「務まるか...」そんな迷いに「大丈夫。頑張って!」と多くの女性がエール(2)

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   これまで夫の転勤に同伴し、ずうっと非正規で働いてきた女性が40代後半になって公務員試験に合格した。

   「やりがいもありそう」「ボーナスももらえる」という喜びにひたりながら、「この年で務まるのか」「勤務時間もきつくなり体力が続くのか」と不安になり、引き受けるべきか悩んでいる。

   そんな女性の投稿に、「大丈夫!まずは公務員、始めてみては?」と多くの女性がエールを送っている。専門家に聞いた。

  • やりがいを持って働く(写真はイメージ)
    やりがいを持って働く(写真はイメージ)
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「女性が希望する働き方は、家庭環境の影響を受ける」

   J-CASTニュース会社ウォッチ編集部では、女性の働き方に詳しい、主婦に特化した就労支援サービスを展開するビースタイルグループの調査機関「しゅふJOB総研」の川上敬太郎所長に、今回の「40代後半から公務員になっても大丈夫?」という投稿の話題について、意見を求めた。

――この投稿、40代後半になって非正規の仕事から公務員試験に合格という、本当なら喜ばしい内容です。しかし、投稿者は自分に務まるだろうか、勤務時間が長くなりはしないだろうか、と思い悩んでいます。一方、多くの回答者は「まずは働いてみなさい」とエールを寄せています。これを読んでどのような感想を持ちましたか。

川上敬太郎さん「まず率直に思ったことは、投稿者さんは責任感が強い方ではないかということです。言い方に語弊があるかもしれませんが、いい加減な人であれば、悩んだりせずとりあえずやってみようと安易に考えるかもしれません。悩まれているということは、安請け合いして責任をまっとうできなかったらどうしようか、という葛藤があるからだと思います」
「一方で、自ら公務員試験に申し込んだのに、合格したら逡巡してしまうというのは矛盾しているように見えるかもしれません。しかし、そもそも何が本当の気持ちなのか、というのは単純に表すことができないものだと思います。身近な例だと、お菓子を食べたいという気持ちと太るからやめとこうという気持ちは、どちらも本心です。正職の公務員として働きたいという気持ちと、大丈夫だろうかという気持ちが混在してしまうのも、人として自然なことではないかと思います」

――なるほど。責任感が強いから悩んでいるわけですか。そういう人にこそ公務員になってもらいたいですが、女性が新しい分野にチャレンジする際の悩みや喜び、問題点などについてこれまで調査したことはありますか。

川上さん「新しい分野にチャレンジする際の悩みとは異なるのですが、仕事と家庭の両立を希望する"働く主婦"層に、本当に望む働き方とは何かについて掘り下げて質問してみたことがあります。働く主婦が本当に望む働き方とは?です。
この調査で、『いまのあなたにとって最も望ましいと思う働き方を教えてください』と質問したところ、『フルタイム正社員』を希望する人は13%に過ぎませんでした。しかし、同じ人たちに『もし家庭の制約などがなく、100%仕事のために時間を使うことができる場合は?』と質問し直したところ、『フルタイム正社員』を希望する人が6割を超えたのです。得てして希望する働き方とは、家庭環境など様々な周辺条件から、無意識のうちに影響を受けてしまうものなのだと思います」

「キャリアとは荷車を引いた後にできる轍です」

災害現場にも行く(写真はイメージ)
災害現場にも行く(写真はイメージ)

――回答者たちの意見をみても、「せっかく合格しただのだから、まずやってみなさい」とか、公務員経験者らからも「やりがいのある仕事だ」といった親切なアドバイスが多くありましたね。

川上さん「みなさんで背中を押す感じが伝わってきて、メッセージに目を通しているこちらも心が温かくなってきますね。親身なアドバイスは、きっと投稿者さんの心に届いていることと思います」

――その一方で、ごく一部ですが、「公務員は全体の奉仕者だ。覚悟のない人になられては迷惑だ」という厳しい意見もみられました。

川上さん「仕事として引き受ける以上、厳しさも認識しておくことは当然のことだと思います。それはそれで、背中を押すアドバイスとは別の側面からの、有益な情報だと思います。投稿者さんが真剣に悩んでいることがわかるからこそ、敢えて厳しい面について言及しているのかもしれません」

――投稿者に対して、今後の仕事のやり方も含めて、川上さんならどうアドバイスをしますか。

川上さん「まず、本当の気持ちは一つではない、という前提に立ったうえで改めて整理してみていただきたいと思います。やってみたいという気持ちと、不安だという気持ち、どちらも本当の気持ちに違いありません。次に、自分が果たさなければならない務めは何か、そして自分が望むキャリアは何かを考えてみていただきたい。果たさなければならない務めとは、家事や介護など家庭周りの役割です。望むキャリアとは、自分がこれからどんな人生を歩んでいきたいかということになります」
「ありがちなのは、無意識のうちに自らの希望を心の奥に押し込めてしまっているケースです。責任感が強い人ほど、その傾向があります。本当はチャレンジしてみたいけど、家周りの務めを考えると無理だから考えないようにしよう、という具合です。責任感の強さは美徳ですが、そこは一旦横において、ご自身が押し込めてしまっている感情もありのままに受け止めてみていただきたいと思います。その上で、やはり無理はしないでおこう、なのか、後悔したくないからチャレンジしてみよう、なのかを自問自答し、夫にも一緒に考えてもらうのが良いのではないでしょうか」

――夫からは「好きなようにしたらいい」と言ってもらっていますが。

川上さん「しかし、何が『好きなように』することになるのかが、夫婦ともに鮮明にとらえられないから悩ましいのだと思います。もし、公務員として働き始めることにした場合、少なからず夫にも影響があるはずです。気持ちよく決断するためにも、夫の心からの理解は不可欠だと思います」
「よく、キャリアとは荷車を引いた後にできる轍(わだち)に例えられます。40代後半といえば、日本人の平均年齢くらいです。人生の折り返し点を迎えたあたりだと言えます。これからまだ何十年も続く人生をどう生きていくか。10年後、20年後、30年後の自分が人生を振り返った時、そこにどんな轍がついていたら良いと思うか。未来像からバックキャスティングしてみると、新たな発見があるかもしれません。未来の自分に対して、今どんな投資をするか。そんな観点から、自らの手で自らのキャリアをデザインしていただきたいと思います」

(福田和郎)

   

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