非正規の40代女性が公務員試験に合格!「務まるか...」そんな迷いに「大丈夫。頑張って!」と多くの女性がエール(2)

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「キャリアとは荷車を引いた後にできる轍です」

災害現場にも行く(写真はイメージ)
災害現場にも行く(写真はイメージ)

――回答者たちの意見をみても、「せっかく合格しただのだから、まずやってみなさい」とか、公務員経験者らからも「やりがいのある仕事だ」といった親切なアドバイスが多くありましたね。

川上さん「みなさんで背中を押す感じが伝わってきて、メッセージに目を通しているこちらも心が温かくなってきますね。親身なアドバイスは、きっと投稿者さんの心に届いていることと思います」

――その一方で、ごく一部ですが、「公務員は全体の奉仕者だ。覚悟のない人になられては迷惑だ」という厳しい意見もみられました。

川上さん「仕事として引き受ける以上、厳しさも認識しておくことは当然のことだと思います。それはそれで、背中を押すアドバイスとは別の側面からの、有益な情報だと思います。投稿者さんが真剣に悩んでいることがわかるからこそ、敢えて厳しい面について言及しているのかもしれません」

――投稿者に対して、今後の仕事のやり方も含めて、川上さんならどうアドバイスをしますか。

川上さん「まず、本当の気持ちは一つではない、という前提に立ったうえで改めて整理してみていただきたいと思います。やってみたいという気持ちと、不安だという気持ち、どちらも本当の気持ちに違いありません。次に、自分が果たさなければならない務めは何か、そして自分が望むキャリアは何かを考えてみていただきたい。果たさなければならない務めとは、家事や介護など家庭周りの役割です。望むキャリアとは、自分がこれからどんな人生を歩んでいきたいかということになります」
「ありがちなのは、無意識のうちに自らの希望を心の奥に押し込めてしまっているケースです。責任感が強い人ほど、その傾向があります。本当はチャレンジしてみたいけど、家周りの務めを考えると無理だから考えないようにしよう、という具合です。責任感の強さは美徳ですが、そこは一旦横において、ご自身が押し込めてしまっている感情もありのままに受け止めてみていただきたいと思います。その上で、やはり無理はしないでおこう、なのか、後悔したくないからチャレンジしてみよう、なのかを自問自答し、夫にも一緒に考えてもらうのが良いのではないでしょうか」

――夫からは「好きなようにしたらいい」と言ってもらっていますが。

川上さん「しかし、何が『好きなように』することになるのかが、夫婦ともに鮮明にとらえられないから悩ましいのだと思います。もし、公務員として働き始めることにした場合、少なからず夫にも影響があるはずです。気持ちよく決断するためにも、夫の心からの理解は不可欠だと思います」
「よく、キャリアとは荷車を引いた後にできる轍(わだち)に例えられます。40代後半といえば、日本人の平均年齢くらいです。人生の折り返し点を迎えたあたりだと言えます。これからまだ何十年も続く人生をどう生きていくか。10年後、20年後、30年後の自分が人生を振り返った時、そこにどんな轍がついていたら良いと思うか。未来像からバックキャスティングしてみると、新たな発見があるかもしれません。未来の自分に対して、今どんな投資をするか。そんな観点から、自らの手で自らのキャリアをデザインしていただきたいと思います」

(福田和郎)

   

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