介護事業の倒産が最多に! 現場職員の心を折る入居者家族の「コロナよりひどい暴言」(2)

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   新型コロナウイルス感染拡大の第3波が猛威を振るっているが、「老人福祉・介護事業」の倒産と、解散・休廃業が過去最多に達していることがわかった。東京商工リサーチが2020年12月3日、「2020年 老人福祉・介護事業の倒産状況」の調査結果を発表した。

   老人福祉・介護事業は、以前から経営不振に陥っているところが多かったが、コロナ禍による利用控えやコスト増加が追い討ちとなったとみられる。

  • デイサービスを受け入れる施設が減ってきて……
    デイサービスを受け入れる施設が減ってきて……
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入居者の家族から「コロナを持ち込むな!」と怒鳴られる

   介護現場の職員たちは厳しい実態を訴えている。

「実務者研修を先日受けてきた者です。講師の方が『福祉学校に入学予定の学生、1人! だから君たちは辞めないでくれ!』と、おっしゃっていました。私は訪問介護員ですが、移動はお給料が出ないので、レジ打ちの仕事と掛け持ちしています。しかし体も経済的にもそろそろ限界で、介護職を辞める時かなと思っています」
「介護士ですが、コロナでひどいことになっています。何かをするたびに消毒で手が荒れまくり、排せつや食事介護にも気を使う要素が増えまくりました。なのに、入居者の家族(息子とか)が『お前らはコロナを持ち込む悪魔だ』『面会禁止とはひどい!』と騒ぎ、あげくのはてには『コロナを外から持ち込まないよう24時間泊まり込みで仕事しろ』といった電話をしてきます。とある病院の併設介護施設なのですが、病院ではコロナ患者を受け入れており、『この街にコロナ患者を持ち込むな!』と抗議を受けています。家に帰れば『マンションにコロナを持ち込まないで』と言われます...。感謝もなく批判され続ける毎日に辞めていく人が絶えません。代わりに未経験の外国人が来て、その教育に追われましたが、結局すぐ辞められる...。もう疲れました。そこまで言うなら家族で面倒みてください!」

   この声には共感が殺到した。

「すっっっごくわかります! たいてい息子! おじさん! 世間ではそれなりの地位や学歴がある人が多い。『こっちは金払ってるんだよ!』はまだ可愛いほうで、わけのわからない理論を展開して施設が悪いと一方的に決めつける。こういう人の対応に人や時間をとられて回らなくなる。お金はいらないから自分で親をみたら?と何度言おうとしたことか。サッカーじゃないですが、○回業務を止めたら退場とかにしたい」

「手の消毒荒れがつらい。手袋していてもボロボロ」

「消毒荒れつらいですよね。コロナで仕事以外にも消毒する機会が増え、夏場でも手が悲鳴をあげていました。クリームも塗りますが、結局手洗いと消毒で補修が追い付きません。手袋していても清潔なケアとそれ以外の切り替えでは必ず洗いますし、入浴介助の石鹸、お湯責めでトドメをさされています。人手不足も深刻。うちのショートステイでも正社員割合は半分以下、派遣さんは顔合わせて次の日にはいなくなっています。在宅介護の大変さもわかるので、家ですべてとはいいませんが、私たちも寄り添うので、ご家族もともに頑張っていただきたいです」
「コロナ禍の中でも職員は一生懸命に働いています。国が規模の小さい事業所でも運営できる制度にしないため、小規模なところが倒産するのは当然です。国はそれを望んでいるようにも思います。それと、介護職は人間性の高い人でなければ務まりません。テレビの無責任な報道だけを見て、給与が安いだの厳しいだの、汚いなどとマイナスなことばかりいうのをやめてもらいたい。私たちは皆、プライドを持って働いています」

   また、こんな気疲れもあるようだ。

「薄給だけじゃない。介護職をやっていた友人たちは全員辞めた。休みが取れないだけじゃない。コロナのせいでふだんの生活から細心の注意をしないとならなくて、ろくに外出できない、彼氏に会いにもいけないと、かなりストレス溜まっていて、オンライン飲みしていてもかなりヤバそうだった」

   親を介護施設に預けている人たちからはこんな意見があった。

「親がお世話になっていますが、介護士さんたちの仕事ぶりには本当に感謝しております。3年ほど前に入所した時は、ほぼ日本人の介護士さんたちでしたが、今はほぼ日本人の方がいない状況です。いったいどうなっていくのか。心配です」
「義母が認知症で介護施設に入所しています。気難しい人で介護士さんにはいつも申し訳なく思っています。高齢者施設でコロナのクラスターが発生したというニュースを聞きますが、もし万が一、義母がコロナに感染して亡くなったとしても、それは寿命だと覚悟しています。施設のせいや、まして介護士さんのせいにする気はないです。やり玉にあげられるのは、あまりにも気の毒です。介護施設が倒産なんて困る人がたくさん出てくると思います」

   最後にこんな声を紹介したい。

「このコロナの中、母が晩秋から訪問看護と訪問リハビリを週1回ずつお世話になっております。訪問リハビリの理学療法士の若い男性が、利用者さんに『殴られたり、蹴られたりする事もあるんですよ』と笑顔で仰っていました。頭が下がります。感謝の思いしかありません。ありがとうございます。」

(福田和郎)

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