「テレワークの家族は受け入れない」と決めた施設も
ネット上では、こんな意見があふれている。
自身も社会福祉士・介護支援専門員の資格を持つ東洋大学ライフデザイン学部の高野龍昭准教授は、こう指摘した。
「2015年以降の介護報酬の実質的なマイナス改定で、ここ数年の介護事業は経営難に陥っています。コロナ禍がそれに追い打ちをかけた形です。感染を懸念した高齢者・家族が利用を手控え、3密を避けるために事業者が受け入れを制限せざるを得なくなり、収入を減らしたことが倒産増加の主要因です。また、感染防止対策のための経費がかかったうえ、感染を心配した介護従事者の離職の増加といった複合的な要因もあります。介護サービスは要介護高齢者・家族にとってはライフラインのひとつですから、少なくてもコロナ禍による事業者の経営難を招かないよう公費による支援策が不可欠です」
介護事業の経営者からは、切実な声が寄せられている。
「自分も介護業界だが、これからもどんどん廃業数は増えますよ。まず、介護業界に来る新卒者がほとんどいない。盆も正月もない24時間、365日の業界。夜中の24時頃にも出勤がある。3Kどころか5Kの職種。それでいて年収は280~330万円程度。地方の新卒なら月給20万円いかない。(夜勤手当含む)デイサービスなら月給15万円程度の施設もザラにある。たしかに手当てが増えたがそれでもその程度。国は手当てを増やす代わりに、あれやこれやと制約や条件を付けてきて、現場に余計な負担がかかる。結果、残業が増えるが、時間外手当はほとんど出ない。職員疲弊して辞める。...と負のスパイラルに陥っていく」
「うちのお嫁さんは介護士です。勤務先の施設では、来年度から思い切った決断をしたそうです。なんと、テレワークのご家族は受け入れをしない。家で働いているなら自分でみてくれと。『どうしても預かってくれ』という方は全額実費で即時会計。現場の負担減になるうえ、給料が上がるよー、という話です」
(福田和郎)