介護事業の倒産が最多に! 現場職員の心を折る入居者家族の「コロナよりひどい暴言」(1)

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   新型コロナウイルス感染拡大の第3波が猛威を振るっているが、「老人福祉・介護事業」の倒産と、解散・休廃業が過去最多に達していることがわかった。東京商工リサーチが2020年12月3日、「2020年 老人福祉・介護事業の倒産状況」の調査結果を発表した。

   老人福祉・介護事業は、以前から経営不振に陥っているところが多かったが、コロナ禍による利用控えやコスト増加が追い討ちとなったとみられる。

  • 介護施設の経営が厳しくなっている(写真はイメージ)
    介護施設の経営が厳しくなっている(写真はイメージ)
  • 介護施設の経営が厳しくなっている(写真はイメージ)

コロナ禍による利用控えやコスト増加が追い打ち

   東京商工リサーチによると、2020年1月から12月2日までに、「老人福祉・介護事業」倒産が112件に達し、介護保険法が施行された2000年以降で最多だった2017年と19年の111件を上回り、最多件数を更新した=下図参照

   要因は複合的とみられる。もともと介護業界は高齢化社会を見据えて「見切り発車の企業」が多かった。そこに人手不足や競争の激化が加わり、経営不振に陥る事業者が増えていった。

   さらに、新型コロナの流行が少なからぬ打撃を与えた。事業者は人材の確保がより難しくなり、感染リスクを嫌ったサービスの利用控えにも直面。感染防止対策のための追加的な出費増を強いられることになったというわけだ。

   倒産件数をサービスごとにみると、ホームヘルパー不足が深刻な「訪問介護」が52件(全体の46.4%)と半数近くを占めている。このほか、「通所・短期入所」が36件、「有料老人ホーム」が10件、「その他」が14件だった。負債1億円未満が全体の80.3%を占めるなど、中小零細の倒産が特に目立つ。

介護施設の年次別倒産件数(東京商工リサーチ調べ)
介護施設の年次別倒産件数(東京商工リサーチ調べ)

   一方、今年1月から10月までの介護事業者の休廃業・解散は406件。この時点で昨年1年間の総数(395件)を上回った。今のペースで推移すると、過去最多(445件)を記録した2018年を大幅に上回る可能性が高い。 新型コロナの影響や人手不足などで先行きが見通せず、廃業を決断するケースも増えており、休廃業・解散も年間最多の2018年(445件)を大幅に上回る可能性が高い。経営不振や人手不足、コロナ禍での事業意欲の消失など、経営体力のあるうちに事業を止めるケースが増えているとみられる。

   2021年4月、3年に1度の介護報酬が改定されるが、介護業界は人手不足や生産性向上、介護職員の育成など、コロナ以外でも課題が山積している。東京商工リサーチでは、コロナ対策の追加支援や介護報酬の改定次第では、介護事業の倒産や休廃業・解散はさらに大きく影響を受けそうだ、としている。

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