GoToトラベル「高齢者は自粛を」菅&小池トップ会談に「拍子抜け」「やった振りパフォーマンスだ」と怒りの声(1)

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医療専門家「あまりにひどい内容にびっくり」

国の責任をキープした? 小池百合子・東京都知事
国の責任をキープした? 小池百合子・東京都知事

   それでは、そもそも今回の会談は、なぜ開かれたのか。東京新聞(12月2日付)「都知事・首相『高齢者ら自粛』決着 トップ会談拍子抜け」が、内幕をこう書いている。

「11月以降、都内では重症者も増え、医療機関のひっ迫感を増していた。『札幌市や大阪市のように、東京もGoTo除外すべきだ』。都への風当たりが日増しに強くなった。『知事も長引かせられないことは分かっていた』と都幹部が明かす。(一方の菅首相サイドは)『会談予定は12月1日になって急きょ入った』。官邸筋が打ち明けた」

   じつは菅首相は、ぎりぎりまで東京発着のGoToトラベルを制限する案をためらっていた節があるという。そんな首相の意向を忖度するように官邸内では、「感染者が増えるカーブが、ちょっとなだらかになった印象だ」(首相周辺)などと楽観論が展開される場面が目立った。

   だが、ある専門家の厳しい見解が流れを変えた。ちょうど、小池都知事とのトップ会談が行われることになった12月1日、日本医師会の中川敏男会長が菅首相と「マスク会食」をして、こうクギを刺したという。

「医療現場や医療提供体制がひっ迫しています。早め早めの対応で感染はコントロールが可能です!」

   こうしてトップ会談が行われたわけだが、その内容について、東京新聞は専門家の「呆れた」というコメントで、こう結んでいる。

「『あまりにひどい内容でびっくりした』と話すのは、医師で医療ガバナンス研究所の上昌弘(かみ・まさひろ)理事長。高齢者や基礎疾患のある人たちは『元々感染に注意していた人たち。移動制限を要請しても、医学的に合理性がない』と指摘する。無症状の感染者の移動が感染拡大につながっているとの見方を示したうえで、『そうした人々の移動をどう止めるかが喫緊の課題だ』と警鐘を鳴らした」

   今回のトップ会談の合意について、医療専門家の見方は厳しいものばかりだ。翌12月2日のテレビ各局の情報番組では専門家たちの意見を次々と紹介した。

   二木芳人・昭和大学医学部客員教授(フジテレビ系『とくダネ!』)

「(政府は第3波に)GoToは関係ないと言っておきながら、これはちぐはぐですよね。あちこちに移動して広げているのは、むしろ若い人たちで、高齢者や基礎疾患のある人はすでに自粛しているのではないでしょうか。(65歳以上の自粛としたことで)むしろ若い人たちに自分たちは旅行して大丈夫という誤ったメッセージを伝える心配があります」

   北村義浩・日本医科大学特任教授(テレビ朝日系『モーニングショー』)

「感染症の拡大防止には人の動きを止めることは劇薬と言っていいほど効果があります。ただ、もう少し広範囲でしっかりやった方がよい。実効性がどれくらいあるかはクエスチョンマークがつきます」

   日本感染症学会指導医の水野泰孝医師(日本テレビ系『スッキリ』)

「短期間でも(旅行を)しっかり止めるのが理想です。旅行だけでなく、もっと強力な要請をしないと、感染が広がっては意味ありません。なぜ停止ではなく自粛なのか。それでどこまで効果があるのか。よくわかりません」

(福田和郎)

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