武田総務相の豹変に携帯2社「いきなり鈍器で殴られた感覚だ」
しかしKDDI(au)、ソフトバンクとも、主力ブランドは少しも値下げになっていないことからネット上で批判を浴びていた。その批判を再燃させたのが11月27日の武田良太総務相の記者会見である。ひと月前にKDDIとソフトバンクが「値下げプラン」を発表した直後は称賛していたのに、突然手のひらを返して「何の意味もない」と不満をぶちまけたからだ。
毎日新聞(11月28日付)「総務相、携帯『囲い込み』批判 主力 → 格安、乗り換えに手数料」も、武田総務相のやや強引な手法をこう伝える。
「10月末、KDDI(au)とソフトバンクがサブブランドの新たな料金プランを発表した。ただ、メインブランドの値下げに踏み込まなかったことや、高額な大容量のデータ通信の新プランだったことから、利用者からは『家計の負担減につながらない』との声が出た。このため、当初、値下げを評価した武田氏も批判に転じた」
今回、武田氏が新たに問題視したのが、同じ携帯会社のメインブランドからサブブランドに変更する際のハードルだ。武田氏は、各社がメインブランドからサブブランドへの乗り換えでは手数料を徴収する一方、逆の乗り換えの際には手数料を無料にしたり、割引を行ったりしていると指摘。「高いブランドから低いブランドに移すのではなく、むしろ高いブランドに移す」状況になっていると不満を示した。携帯業界にはこんな不満の声が広がっているという。
「いったんは評価しながら、手のひら返しではないか。いきなり鈍器で殴られたような感覚だ」
「どこまでやれば納得してもらえるのか」
産経新聞(11月28日付)「携帯値下げ議論混迷 総務相、大手の新プランを批判」も、携帯大手各社の憤りをこう報じる。
「『虎の尾を踏んだ』と携帯大手関係者はつぶやく。KDDIの高橋誠社長は11月25日の産経新聞などの取材で、総務省が格安への乗り換え促進策を推進中なのに主力ブランドを安くすると言えば、乗り換えが進まなくなるので『「矛盾している』と指摘。これに対し、武田氏が、大手には囲い込み策があって、乗り換えが阻害されているから主力ブランドを下げるしかないのだと反論した格好だ。だが、その手法には強引さも垣間見える」
「武田氏は乗り換えを阻む要因として3つの手数料が計1万5500円もかかっていることを挙げた。しかし、このうち9500円の契約解除手数料は昨年1000円に下がっており、3000円の乗り換え手数料も来春からネット手続きでは0円になるなど、実際には(約4000円以内で済むよう)見直しが進みつつある。武田氏の強硬な姿勢には『当然その上(編集部注:菅首相)が関わっている』と携帯大手首脳は語る」
というわけだ。
いずれにしろ、武田総務相も期待するNTTドコモの新料金プランの発表がカギを握るわけだ。
(福田和郎)