きょうは、50代後半のDさんです。
「役職定年で子会社に課長として出向したしたものの、仕事がないんですよね。役職はあってもないようなものです。これまで仕事ばかりしてきたので、一気に気が抜けた感じです。今のところ65歳までの雇用延長を考えていますが、このままの状態がずっと続くのかなと思うと不安です」
ワークライフバランスを追求してみる
Dさんは、これまでの仕事内容とまったく違う業務をされているということなので、その部分に対しても価値を見失っているところだと思います。しかも、与えられている業務量が少なく、「仕事がない」と感じている状態です。
まずは、よく言われますが「目の前の仕事を徹底的にやってみましょう」。これは、ただ、仕事を黙々とやり続けるということではありません。
たとえば、書類の整理の仕事だったら、
・どうやったら見やすくなるのか?
・どうやったら整頓できるのか?
・紙をなくすことができるのではないか?
などの、たくさんの課題があると思います。
ただ、黙々と言われたことをこなすのではなく、頭を使いながらやってみましょう。そうすることで別の仕事をお願いされる機会も増えていくかもしれません。仕事がなくて、暇だなと思いながら会社で1日を過ごすのではなく、「どうやったら良くなるんだろう、改善できるのだろう」と考えることで、仕事への向き合い方も変わってくるはずです。
それでも、つまらないということであれば転職活動などで、別の道を探すのもいいかもしれません。
ワークライフバランスを追求してみるのも、いいと思います。
Dさんは子会社で、17時には退社する生活を送っているそうですが、退社後はどのように過ごしているのでしょうか?
「帰ってからリビングで過ごしながらだらだらとテレビをつけています」(Dさん)
せっかく手にした時間を使わないともったいないです。これまで仕事ばかりしていた時は、おそらく「時間があったら好きなこと、やりたいことをやるのにな」と考えていたはずです。いざ時間ができても何も考えていなかったら、準備をしていなかったら、今のように手付かずになってしまいますよね。
お金や時間があることはプラスです
まずは、お金があったら、時間があったら「?したい」と頭に思い浮かべたことを言語化してみましょう。頭に思い浮かべただけでは忘れてしまうので、紙に書くことがオススメですよ。
書いたものの中に、たとえば「医者になりたかった」などという夢があったら、50代から挑戦するには現実味が少ないことは、キッパリとあきらめることも必要かもしれません。自分の中で、あきらめることを決めた後に残ったことを始めてみてはどうでしょう。
私は今、中国語の勉強をしていますが、将来的に通訳を仕事にしたいと思っています。今は初心者なので、まずは看板などの中国語を理解することが目標です。
Dさんもやってみたら、仕事にしたいと思うことが出てくるかもしれません。今の生活を定年後の生活の予行演習として楽しんでみてはいかがでしょう。
知的好奇心を高めることも、いいと思います。
時間がないと忘れてしまいやすいのが、知的好奇心を持つことです。子どもの頃、学校帰りに寄り道していませんでした? 「何にでも興味があった」「新しいことを知りたい」という好奇心が旺盛だったのではないでしょうか。
大人になるとどうしても、忙しさにかまけて、新しいことに対する好奇心が失われてしまいます。時間がある今、知的好奇心を高めることもオススメです。
コロンビア大学の経営心理学教授のトマス・チャモロープリミュージク氏が、ビジネス環境の変化に対応するのは、知的好奇心が必要と言っていました。
知的好奇心があると
・複雑な問題を理解して対処することができる
・ストレスや不安への耐性が高くなる
・新しいことに対しても落ち着いて対処することができる
知的好奇心を育てる、高めるためには一つのことを掘り下げるといいそうです。
一般的に、一つのスキルを身につけるには1000時間学習が必要と言われますが、何かを今から極めてみることに挑戦してみてはいかがでしょうか。私の中国語も、1000時間やったらどうなるんだろうと、夢と希望を持っています。
Dさん、子会社への出向で時間ができた分、新しい道が開けたということです。もちろん、今の会社で雇用延長を選択することも一つの道です。いろんな可能性を探るために、近未来をイメージトレーニングしてみましょう。(ひろ子ママ)