海外も注目「水素・燃料電池バレー」目指す山梨県
またこの日、甲府市内などに集積する水素・燃料電池に関する最新の技術や先端的な研究成果が、メディアに公開された。
山梨県は、世界的なIT産業の集積地である米サンフランシスコの「シリコンバレー」を文字って、水素・燃料電池産業が集積する「水素・燃料電池バレー」の実現を目標に掲げている。長崎幸太郎県知事もメディアに向けて、 「山梨県は水素や燃料電池に関して日本の最先端の地域であると自負しています。研究は、国内ではあまり知られていませんが、海外から注目を集めています」
とアピールした。
水素・燃料電池に関する研究で中心的な役割を担うのが、山梨大学の「燃料電池ナノ材料研究センター」(甲府市)だ。燃料電池に使われる高耐久・高性能・低コストの触媒や電解質材料などの研究・開発を進めてきた。今年5月の時点で、省エネルギーや地球環境問題について研究する同大の「クリーンエネルギー研究センター」と合わせて計85人の教員・研究員を抱える。
メディアへの説明を担った飯山明裕所長は、
「燃料電池の分野で世界最大級かつトップレベルの研究施設だ」
と話した。
燃料電池ナノ材料研究センターでの研究の中心は、燃料電池の心臓部と言われる「セル」だ。より効率良く反応し、長期間使っても劣化しないようにするための仕組みや材料の開発を進めている。県内中小企業とも連携しており、非常用電源として利用できる燃料電池システムや、小型で低コストの燃料電池を実現できる部品などの製品化が目標だ。
この日は、同センターでの研究成果を活用した事例として、高性能のセルを積層させたスタック(発電装置)などを供給する「日邦プレシジョン」(山梨県韮崎市)や、次世代燃料電池の重要な部材などを開発・製造する「エノモト」(山梨県甲州市)などの取り組みも紹介された。