飛び込み営業の極意
野村證券時代は死ぬほど飛び込み営業をしたという。少なく見積もって年間2万件、新人の頃は一日150件はやったそうだ。200件のインターホンを押して、そのうち1人お客様になってもらえるかどうか、と実感を書いている。
野村には営業マンのマニュアルやトークスクリプト(台本)が一切ない。ドアを開けてもらうためにたどり着いた、一つの文言がある。
「野村證券の宋です。エリア担当をすることになったので、ご挨拶に来ました。名刺だけでも受け取ってもらえませんか」
それっぽいことを言っているが、意味不明だ。何を言われても「エリア担当です」「ご挨拶に来ました」の二択で返し続ける。あえて会話をしないことで、ドアを開けてもらったという。
いよいよ、お客様に会えたら商品の説明だ。うまくなるには、トレーニングしかない、つまり努力で9割方は解決できる、と断言する。
実際に口に出してつぶやくこと。お風呂の中でも架空のお客様を想定しながらブツブツブツブツやっているという。説明することに余裕があると、相手の反応だけに100%意識が向けられるようになる。
ヨイショはするな、と言いながらも、経営者や大物を褒めるポイントを3つ挙げている。
1 真面目な雰囲気でまっすぐ褒める
2 他の社長とあなたは違うと伝える
3 自分なりに考えた本質的な部分を褒める
じつは大物ほどイエスマンを求めていないという。意見を聞かれた場合のみ、しっかり自分の考えを言えばいいという。「ポジションを取った物言いをハッキリできるかどうかが分かれ道です。その時の思考の深さや話す雰囲気、内容などを見て、相手はこれから付き合っていくかいかないかを判断している」のだ。