人間の本能は外交的ではない?
著者は、何千人という人たちの出会いのパターンを観察する中で「セレンディピティの法則」というべきパターンがあることに気づいた。それは、セレンディピティが出会いの頻度と気づきのかけ算の結果ということ。出会いの場を多くして、その出会いを後に生かす場とするならば、そのための行動をとることだ。
知らない人がたくさんいたら気まずいな、自分はここに受け入れられるだろうか――。そんな不安はたくさん人が感じている。日本人より、はるかに社交的と思われるアメリカ人でも、5000人を対象とした調査では約8割の人が「シャイ」。つまり対人関係の不安や不便(口数が減る、視線を合わせられない、わざとらしい作り笑いをしてしまうなど)を感じたことがあると答えている。
人間の本能には、そもそも外向きなコミュニケーション力が備わっていないという。神経感覚が、見知らぬ他人と人間関係をつくれるようにうまく設計されていないのだ。
だから、そもそも人間同士の出会いは、共に人見知りの段階で始まるから、打ち解けるきっかけとなる、氷を壊すような「アイスブレイク」が重要になる。アメリカでは、議論や会話のきっかけを提供する存在をアイスブレーカーと呼ぶことがある。
人見知り同士の場合は、相手の出身地や前日のご飯など、ほぼ必ず答えられる事実をベースにした質問が格好のアイスブレイク。「一見おしゃれで意識高そうな女子がカップラーメンを食べていたり、何の趣味もなさそうなマジメそうな男性が『夜はスイーツしか食べません』という意外な一面をもっていたり」することもあり、これらほど予想外のことではなくても、話しを展開しやすくなるはずだ。